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《スタメン起用で15位→6位》まもなく38歳も進化は止まらない! フランクフルトを好転させた長谷部誠の攻撃的な守備の凄み 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2022/01/09 11:01

《スタメン起用で15位→6位》まもなく38歳も進化は止まらない! フランクフルトを好転させた長谷部誠の攻撃的な守備の凄み<Number Web> photograph by Getty Images

1月18日に38歳の誕生日を迎える長谷部だが、高い戦術眼とリーダシップを示し、今なおフランクフルトの不可欠な存在であり続けている

 監督は、そのために様々なアプローチで個々の選手やグループに働きかけている。

 例えば監督から「ボールを慌てず丁寧に回して、相手守備に隙が生まれたら、すかさず鋭い縦パスを入れる」というメッセージを受けたら、プロ選手なら「なるほど、そういうイメージですね。わかりました!」と答え、そのつもりでプレーをする。たぶんファンもそういう目線で見るだろう。

 しかし、みんなそのつもりでプレーしていても、うまくいくときといかないときがある。ボールを落ち着けるべきなのに「縦パスを送らないと」という意識に引っ張られて無理なチャレンジでミスをしたり、バックパスをしてチャンスを逃したりする。

 全員が共通のイメージでプレーすべきところで、合わせようと探っているようでは、プレースピードはどんどん遅くなってしまう。

長谷部がピッチに立つだけでチームの歯車がかみ合い出す

 そこで重要になるのが、長谷部のような選手だ。

 彼が監督やチームメイトから全幅の信頼を受けている理由は、チームのプレービジョンを的確に解釈して具現化する能力があるだけでなく、味方選手の意図を考慮して調整する能力が、誰よりも秀でているからではないだろうか。

 3バックの中央で守備組織を的確にコントロールし、ゲームの流れを冷静に読みながらボール奪取を狙う。さらにボールを奪うと慌てず冷静にパスをさばいてゲームメイクをし、機を逃さず相手守備の隙間を縫う正確な縦パスで攻撃のスイッチを入れる。味方選手、相手選手、ボールの位置から状況を分析し、いつ、どこで、どのようにボールを動かしてリスクチャレンジすべきかを判断する力が非常に優れている。

 長谷部がピッチにいることで、各選手の頭の中が整理されていく。彼がピッチに立つだけで、どこかぎくしゃくしていたチームの歯車がかみ合い出していく。そんな選手はなかなかいない。

 守備でも魅せる。相手の狙いを読み切ったカバーリングの素晴らしさは相変わらずだが、今季は攻撃的なボール奪取、通称インターセプトの頻度が非常に増えているのだ。

 ドイツサッカー協会の指導者要綱には「直感で守るな。予見して動き出せ」という基本がある。「何となくここにくるかな」という直感に基づいたアプローチだと、来なかったときのリカバリーが難しくなる。

 一方、慎重になって距離を取り過ぎると、相手に主導権を握られてしまう。要するに、試合状況や相手の立ち位置などから次の展開を予見し、先に動き出せるようにしなさいという指導指針なのだが、そのあたりの鋭さに関して、長谷部はなお成長している。

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