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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
《スタメン起用で15位→6位》まもなく38歳も進化は止まらない! フランクフルトを好転させた長谷部誠の攻撃的な守備の凄み
posted2022/01/09 11:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
まもなく38歳の誕生日を迎える長谷部誠選手に関する2本の記事の前編です。(後編はこちら)
もし、長谷部誠がいなかったらこのチームはどうなっていたのだろうか。
フランクフルトの試合を見ながら、そんなことを考えてしまった
今月の18日で38歳となる長谷部は、今季ここまで公式戦15試合に起用されている。昨年10月の代表ウィーク以降は公式戦14試合中11試合でピッチに立ち、コンスタントに結果を残している。ヨーロッパリーグのグループリーグを首位で突破し、リーグ前半戦を6位で折り返したチームにとって欠かせない存在だ。
とはいえ今シーズン序盤は、オリバー・グラスナー新監督の志向する「規律立った守備組織を基盤に、精力的かつ積極的に相手陣内からボールを奪いに行くサッカー」において適任者ではないと判断されたせいか、あるいは「若手を育てトップクラブへ高値で売る」クラブの経営哲学を支えるためか、スタメンのファーストチョイスではなかった。
しかし、チームは思うように戦績をあげられない。
第10節終了時は、2部リーグ3位との入れ替え戦に出場となる16位と同勝点の15位。上位進出どころか、残留争いに巻き込まれていた。ただ、11月に入る頃からチーム状態が良くなり、公式戦10試合を7勝2分1敗と大きく勝ち越した。
好転には様々な要因があるだろうが、長谷部がスタメン起用されるようになったことでポジティブな現象が生まれたのは間違いない。いや、主要因の1つと言っていいだろう。
実際、多くのドイツメディアが「長谷部がチームに安定感をもたらしている。若手にも落ち着きが出てきた」と評価している。
大事なのはチームとして共通イメージを持つこと
「安定感をもたらす」とは、具体的にどんなことなのだろうか。長谷部のどんなプレーや振る舞いが、どんな効果を生んでいるのだろうか。
チームスポーツは1人の判断だけではうまく機能しない。自分にとって「これが最高だ」と思う判断をしたとしても、周りの選手が別のイメージで動いていたら、相手チームより優位な局面を作ることはできない。
まして、相手のレベルが高くなればなるほど、相手チームは様々な状況に応じた準備をしてくる。だからなおさら、最適な判断をするのが難しくなる。
そこで大事になるのが、チームとして「いつ、どこへ、どのようにプレーして、最終的にゴールへとつながるリスクチャレンジをするのか」という共通イメージをしっかりと持つことだ。