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藤井聡太竜王は順位戦でもスゴい成績、渡辺明名人は「冬将軍」… 観る将マンガ家が2021年末に描く《将棋ハイライト》
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida(illustration)/日本将棋連盟
posted2021/12/29 11:08
観る将マンガ家・千田先生が描いた「1~3月の将棋ハイライト」。2021年のイラストは関連記事からもご覧になれます!
(2)今振り返っても凄まじい藤井竜王の戦いと「1~3月のハイライト」
渡辺名人以外の1~3月のハイライトもちょっと振り返ってみました。ほぼ1年前の出来事ですが(笑)、あらためて振り返ってみると興味深いことが多かったんです。
まずは2月に開催された、朝日杯オープン戦決勝。こちらは藤井聡太二冠(※当時)vs三浦弘行九段の対局となり、101手で藤井二冠が勝利しました。藤井さんと朝日杯と言えば2018年2月、15歳6カ月にしての史上最年少優勝が“伝説”の始まりとなりましたが、もう3度目の優勝なのだから……恐るべしです。
そんな朝日杯で「あ、そう言えばこんなことあったな」というのが1つ。持ち時間の表示についてタブレットを使用していたのですが、不具合があったのか運営の方があたふた。しかしここで機転を利かせたのは記録係の廣森航汰三段。スッとチェスクロックを用意し、無事決勝が開催された――というのが記憶に残っています。
廣森三段はその後、棋王戦に王座戦、竜王戦などの記録係を務め、ツイッターでも対局の感想(あと将棋めしも)を発信してらっしゃいます。こういった奨励会の方々の尽力もあって、将棋界が成り立っているのだな、と思います。
新婚・稲葉八段のNHK杯初優勝に感服
朝日杯と同じく早指し戦と言えば、NHK杯。こちらは稲葉陽八段が初優勝を成し遂げました。新婚とのことで、公私とも充実したお姿には僕も元気をもらいますし、担当しているNHKの将棋講座を見て「指すときってそうやって進めるのか~」と観る将として勉強になるばかりです。一方で前期NHK杯を振り返ってみると、藤井竜王・渡辺名人・永瀬王座の3タイトルホルダーが初戦敗退だったというのも衝撃でしたが……。
先日、中村太地七段の取材に同席した際に「早指しは持ち時間が非常に短いゆえ、どうしてもお互いミスが出やすい展開となります」とおっしゃっていましたが、持ち時間が変わるとそれほどまでに対局展開が違うんだな、と再確認した次第です。
最後に、3月まで開催された順位戦ではやはり藤井二冠のB級2組全勝突破でしょう。2020年度終了時点での順位戦通算成績は、39勝1敗。現在行われているB級1組の成績を足して、47勝2敗(2021年末時点)。勝率にすると「0.959」……。いわゆる「マンガでボツになるレベル」の勢いですね(笑)。