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藤井聡太竜王は順位戦でもスゴい成績、渡辺明名人は「冬将軍」… 観る将マンガ家が2021年末に描く《将棋ハイライト》
posted2021/12/29 11:08
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
Junsei Chida(illustration)/日本将棋連盟
2021年、NumberWeb上で「各月の将棋ハイライト」を描かせていただき、本当にありがとうございました。で、この前、将棋会館取材に訪れた際に編集担当さんからこんな言葉が。
「4月からイラストでの振り返りやってますけど、振り返ってみると新年度から始めたので、1~3月のハイライトが未着手になってるんですよね……。なので年末に配信して、12カ月すべてコンプリート、ってことにしちゃいません?」
ま、まさかの一手(笑)。
でも確かに今年初頭もスゴい戦いや快挙があったなあ、と思ったのでまずは2枚、描いてみることにしました。
(1)渡辺明名人(冬将軍)の強さに感服
誰が呼んだか「冬将軍」。渡辺明名人(棋王、王将と三冠)の強さを味わえるのは、この時期だ――観る将になって2年弱ですが、“おうち将棋観戦”がはかどる2021年の初春に、その強さを実感しました。
前期(第70期)の王将戦では永瀬拓矢王座(今思えばとんでもなくハイレベルな挑戦者決定リーグ戦でした)相手にいきなり3連勝。その後、永瀬王座が意地を見せて2連勝したものの、第6局は千日手(※同じ局面が連続した場合、先手と後手を入れ替えて指し直しとなる)の末に勝利し、防衛に成功。王将位3連覇(通算5期)を果たしました。
それと並行して臨んでいた棋王戦でも、早指しで名高い糸谷哲郎八段に第1局こそ逆転で先勝を許しましたが、将棋界ナンバーワンと言われる研究量や勝負所での安定感で、第2局から一気に3連勝。棋王戦9連覇を達成しました。自身のタイトル連覇としては竜王戦と並ぶ最長記録となったそうです。す、すごい……。
通算タイトル29期、単独4位という偉業
2つの防衛劇に加えて、名人位も守ったことによって渡辺三冠の通算タイトルは29期、単独4位。上にいるのは羽生善治九段(99期)、大山康晴十五世名人(80期)、中原誠十六世名人(64期)だけ。3人の成績も壮絶なのですが……名人、三冠だけでなく「渡辺明・冬将軍」との異名をつけたくなるほどです。
年が明けて1月9日からは藤井聡太竜王(棋聖、王位、叡王と四冠)を迎え撃つ王将戦が始まります。「五冠」の期待がかかる藤井竜王に対して、棋聖戦のリベンジなるか――という視点で見るのも、絶対に面白いはずです。もし王将戦で勝利したら、将軍コスプレしてくれないかな、とかとも妄想します(笑)。
ちなみに渡辺名人で直近の戦いと言えば……12月24日、すごかったですね。豊島将之九段との“クリスマスイブ日付越え持将棋”の激闘は年明けの「12月のハイライト」で描きます!