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《有馬記念》昨年のサラキア(2着)のように好走の可能性がある馬とは?“伏兵”が虎視眈々、クロノジェネシスも変わり身は充分 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2021/12/25 06:01

《有馬記念》昨年のサラキア(2着)のように好走の可能性がある馬とは?“伏兵”が虎視眈々、クロノジェネシスも変わり身は充分<Number Web> photograph by Photostud

2020年の有馬記念を制したクロノジェネシス。今回のレースが引退レースとなる

凱旋門帰りのディープボンドの状態は?

 同じく凱旋門賞帰りなのがディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)だ。こちらはフォア賞を制しての凱旋門賞出走。先述した例に倣えば好走しておかしくない条件だったようにも見えるが、同馬の場合、日本国内でもGI勝ちがない身というのが大きな壁になったと思う。世界最高峰とも言われる凱旋門賞を制そうと思えば、やはりそれなりの実績は必要。過去にGIを3勝以上して凱旋門賞に出走した日本馬は延べ8例で、2着3回、3着1回なのに対し、GI2勝以下の場合19例でナカヤマフェスタの2着が1回あるのみ。ましてGI未勝利馬となると、データ的には苦戦必至と言わざるを得ず、14着という結果も仕方なく思えるのだ。

 しかし、こちらもクロノジェネシス同様、有馬記念となれば先のデータは度外視出来る。凱旋門賞は敗戦濃厚となった時点で鞍上が全く無理をさせなかったので、14着という着順をイコール実力ととる必要はないし、むしろ少ないダメージで帰国出来たと考える事も出来る。いきなりの巻き返しを期待したいものだ。

アカイイトは“昨年のサラキア”のように…

 逆に勢いを感じられるのはアカイイト(牝4歳、栗東・中竹和也厩舎)。前走のエリザベス女王杯(GI)で初のGI制覇。初騎乗だった幸英明騎手が「手応えが良かったし、人気もなかったので思い切って自分で動いていきました」と語るように、途中、自ら主導権を取りに行く競馬で押し切るという強い内容で優勝。穴をあける形だったので今回もそう人気にはならないだろう。しかし、昨年もエリザベス女王杯2着だったサラキアが有馬記念でも素晴らしい末脚を披露して2着して穴をあけたように、再びの好走があっても不思議ではない。軽視は禁物だ。

 勢いという点ではタイトルホルダー(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)も負けていない。春は弥生賞(GII)を勝ちながらも皐月賞(GI)2着、日本ダービー(GI)は6着と善戦止まり。しかし、この秋は菊花賞(GI)を先頭でゴールして自身初のGI制覇を成し遂げた。それも逃げて2着のオーソクレースに5馬身の差をつける独走劇だったのだから立派なもの。近年だとサトノダイヤモンド(16年)やゴールドシップ(12年)、また11年のオルフェーヴルらが菊花賞と有馬記念を連勝している。今回は横山武史騎手から兄の横山和生騎手に乗り替わる点がどう出るかという点と、と大外16番枠というのは気掛かりではあるが、あまりに人気がないようなら狙ってみるのも面白そうだ。

 また、同じ3歳馬では菊花賞で2番人気に支持されていたステラヴェローチェ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)も注意が必要だ。その菊花賞では4着に敗れてしまったが、同じようにクラシック3冠目を人気で落としながらも直後のグランプリで巻き返した例としては3年前のブラストワンピースがいる。同馬もその有馬記念がGI初勝利だったのだからステラヴェローチェの一発があってもおかしくはなさそうだ。

【次ページ】 エフフォーリアの鹿戸師「中間も順調」

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