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《有馬記念》昨年のサラキア(2着)のように好走の可能性がある馬とは?“伏兵”が虎視眈々、クロノジェネシスも変わり身は充分
posted2021/12/25 06:01
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Photostud
いよいよ有馬記念(GI)が目前に迫った。毎年、その年のGI戦線で活躍したスーパースターが揃う大一番。今年も例に漏れず素晴らしいメンバーが顔を揃えた。中山競馬場の芝2500メートルで覇を競う彼等のうち何頭かを紹介しつつ、簡単にではあるがレースを占ってみよう。
“グランプリ3連覇中”のクロノジェネシス
まずは昨年の覇者であり、宝塚記念(GI)も含めるとグランプリ3連覇中のクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)。
前走はフランスの凱旋門賞(GI)。自身のキャリアとしては最低着順の7着に終わっている。これに関し管理する斉藤調教師は当時、現地で次のように語った。
「色々と考えさせられる結果になりました。ただ、馬場を含めて日本とは多くの点で異なる条件下だったので、帰国すればまた違う結果を出してくれると信じています」
斉藤調教師が言うように馬場の違いというのがあったのは事実だろう。その点は同意する。ただ、この結果を受けて多くの報道陣が「馬場が日本とは違い過ぎる」等、馬場だけが敗因のようにまくし立てたのは個人的に疑問に思っている。
凱旋門賞からの変わり身は充分にある
同じ日に行われたフォレ賞(GI)では日本のエントシャイデン(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)が見せ場充分の3着に好走した。同馬は日本ではGIはおろかGIIやGIIIの重賞勝ちすらない馬。それでもGIで善戦出来たのだから、凱旋門賞の結果だけを見て一概に“日本馬に合わない馬場”と決めつけるのは間違っていると思うのだ。
あくまでも個人の見解だが、クロノジェネシスの凱旋門賞における苦戦は、臨戦過程の方が大きく影響したのではないだろうか。つまり、宝塚記念を制して以来、3カ月以上の間が空いていたわけだが、このように凱旋門賞前に3カ月以上の休みを挟みながらも勝利した馬は実に1950年のタンティエームまで遡らないと見つからない。ここ70年間の勝ち馬は皆、3カ月以内にレースを使われていたのである。事実、エルコンドルパサーやオルフェーヴルなど、日本馬で2着に善戦した延べ4頭は全馬フォア賞(GII)をひと叩きされていた。
話が少々逸れたが、あくまでもデータ的には凱旋門賞におけるクロノジェネシスの大敗は不思議ではなく、逆に言えば今回の有馬記念で変わり身を見せて好走する可能性は充分にあるだろう。
「少し物足りなさが残る」とコメントした斉藤調教師だが、それでも最終追い切りでは抜群の時計をマーク。今回がラストランになるが、思えば13年に有馬記念で有終の美を飾ったオルフェーヴルも当時は凱旋門賞帰りでの参戦だった。ミス・グランプリが得意の条件で息を吹き返してくれる事を願いたい。