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スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
藤井聡太竜王は20歳となる2022年、どんな伝説を作るのか 「どこまでいっても変わらず、強くなるため」の探究は続く
posted2022/01/01 06:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
JIJI PRESS
<名言1>
藤井さんの対局は特によく見ていますが、これは自分には指せない、という手が多いんです。
(豊島将之/Number1018号 2021年1月7日発売)
◇解説◇
2021年、藤井聡太竜王と最も盤を挟んで向かい合った棋士は、豊島将之九段だ。藤井と同じ愛知県出身。あどけないルックスで多くのファンを持つとともに、これまでの将棋界で4人しかいない「竜王名人」となった、まぎれもないトップ棋士の1人だ。その豊島が2021年、王位戦・叡王戦・竜王戦と3つのタイトル戦で藤井と競い合った。
「内容では押されている」
実は豊島は、羽生善治九段相手に4勝1敗で防衛に成功した2020年の竜王戦後に、興味深い発言を残している。渡辺明名人や永瀬拓矢王座、そして藤井との対局について問われると「内容では押されている」とハッキリと口にしたのだ。
取材当時、豊島は藤井との対戦成績は6戦全勝。世間では「藤井キラー」と見る向きもあった。そこに至るまでの、見える世界が違っていたのも確かだった。実際、同じプロの立場で「豊島、強いよね。序盤・中盤・終盤、隙がないと思うよ」との名言を生み出した佐藤紳哉七段もこのように語っていたことがある。
「そこまで差がつかなくても……というのが、ふたりの対局を見ていて感じるところです。(中略)豊島竜王はトップクラスの実力者です。藤井さんはどんどん強くなってはいますが、まだ全てが完璧というわけではない。そういう意味では、ここ数年トップの位置にいる豊島竜王相手に負けが込むのは、不自然なことではないかと」
「十七番勝負」とも評されたトリプルタイトルマッチは、藤井が王位を防衛、竜王と叡王を奪取した。
豊島視点で見れば藤井と戦い続け、失冠するという苦い結末になったものの、このまま終わる棋士でないことは将棋ファン誰もが知っている。豊島は初の弟子(岩佐美帆子さん)を取るなど、新たな局面を迎える中で「藤井1強」に待ったをかける存在として、2022年の活躍に期待したい。