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佐々木麟太郎(花巻東)がスゴイ!とは聞いたけど…秋に頭角を現した“規格外の1年生”3人とは?《九州国際大付、広陵、大阪桐蔭》
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph byPPAB-lab.
posted2021/11/17 11:00
11月20日から開幕する明治神宮大会に出場する注目の1年生たち。これからどんな活躍を見せるか、注目したい
何より佐倉のバッティングで目に留まるのが、下半身の強さだ。
高校生のパワーヒッターの場合どうしても腕力に頼ることが多いが、佐倉は下半身主導で全身を使って振り切ることができており、スイングに柔らかさがあるというのも佐々木と共通した長所。バットを高く上げて体を沈み込ませる少し独特の構えでも右足を上げた時に重心が上下動することがなく、トップの形も非常に安定している。
厳しいマークの中でも決して大振りすることなく、状況に応じたバッティングができるのもパワーだけでなく高い技術がある証拠と言える。筆者が現地でプレーを見た鹿児島城西戦は九州大会で唯一ノーヒットに終わった試合だったが、スイングの迫力は圧倒的なものがあり、いつでも長打が飛び出しそうなオーラが漂っていた。
佐々木、佐倉と比べるとやや細め?
一方の真鍋も夏からクリーンアップの一角として出場。189cm、88kgと佐々木、佐倉と比べると少し細身ではあるが、堂々とした体格で打席での雰囲気はとても1年生とは思えないだけのものがある。
中国大会でも4番、ファーストとして4試合にフル出場。ホームランこそ出なかったものの、全試合でヒットを放ち打率4割、チームトップの7打点と見事な活躍で優勝に大きく貢献した。
そんな真鍋の長所は無駄な動きのないスイングと、巧みなリストワークだ。準決勝の岡山学芸館戦では、死球で出塁した後の第2打席で技巧派サウスポーの誘うような外の変化球をしっかり呼び込んでライト前に弾き返したが、緩いボールにも全く体勢が崩れずにしっかりと呼び込むことができていた。第4打席では内角の厳しいコースの速いストレートに対して肘をきれいにたたんで右中間に弾き返しており、こちらも技術の高さを感じる一打である。
また、12.00秒を切れば俊足と言われるスリーベースの三塁到達タイムでは「11.92秒」をマークしており、脚力も備えているというのも大きな魅力だ。現時点でのパワーは佐々木、佐倉に比べると見劣りするものの、上背があるだけにここから筋肉量が増えてくれば将来的には2人を上回ることも十分に期待できるだろう。