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藤井聡太19歳 “泣きながら勝った小学校3年生”が10年弱で《史上最年少四冠・竜王獲得》…タイトル経験者が「力負け」と脱帽する成長の源とは
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2021/11/14 06:01
10代にして竜王獲得、そして史上最年少四冠を成し遂げた藤井聡太
泣き続けたまま3位決定戦を戦い……
2012年の小学生大会、当時小学校3年生だった藤井聡太少年を初めて見たときのこと。藤井少年は準決勝で負けてしまい、人目をはばからず泣いたという有名な話があるが、「本人は泣き続けたまま3位決定戦を戦って勝った」という。敗戦で心が波立っているというのに勝ってしまう……藤井聡太という棋士の才能を感じさせる一節だ。
その後は藤井本人が大好きだという詰将棋で力を伸ばし、杉本昌隆八段という「素晴らしい師匠と巡り合った」ことで飛躍への土台を作った。自発的な努力と恵まれた環境が、彼にとって追い風だったのは確かだろう。
将棋は人と人が戦うもの
<名言3>
将棋は人と人が戦うもの。得意戦型や相性によって、星が偏るというのはよくあることです。
(佐藤紳哉/NumberWeb 2021年6月29日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/848614
◇解説◇
豊島将之竜王が世間的に“藤井キラー”という印象を与えたのは、2020年9月12日の第41回将棋日本シリーズ・JTプロ公式戦、そして10月5日の王将戦挑戦者決定リーグ戦と連勝したからだろう。
特に王将戦挑決リーグで藤井二冠が中継画面に表示される評価値「99%」の状態から逆転負けを喫したのは、大きな衝撃を与えることになった。
当時は藤井二冠の渡辺明名人に対する勝ち越し数もあり、3人の「相性」が注目されていた。その一方で、棋士の視点では「豊島竜王の強さ」を再確認したという向きもあったようだ。
勝又七段は、JT杯後に自身のツイッターで対局後「通算勝率8割4分の二冠王に5連勝するバケモノがいるらしい」と感嘆のつぶやきをしているのが代表的だろう。また将棋界きってのエンターテイナーとして知られる佐藤紳哉七段も「そこまで差がつかなくても……というのが、ふたりの対局を見ていて感じるところです」との言葉とともに、真剣な表情でこう語っていた。