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藤井聡太二冠に6勝1敗…「豊島将之竜王、さらに強くなった」理由を佐藤紳哉七段、中村太地七段と考えた【王位戦も展望】
posted2021/06/29 11:07
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph by
JIJI PRESS
NumberWebでは将棋の"競技的"な側面を中心に、王座獲得経験のある中村太地七段に将棋の奥深さについて定期的に語ってもらっている。今回は佐藤紳哉七段を招き、王位戦、叡王戦での対局が決まった豊島将之竜王・叡王と藤井聡太棋聖・王位、さらには羽生善治九段ら多岐にわたって語ってもらった(全3回/#1、#2はこちら)
2012年度NHK杯における「豊島? 強いよね」発言で話題になった佐藤紳哉七段だが、発言から9年経た今、「豊島竜王はどこがさらに強くなったのか」、そして王位戦に向けた展望も中村太地七段とともに語り合ってもらった。
“AIで強くなった”のは豊島竜王だけ?
――さらに強くなった豊島竜王について「パワーアップした」と太地先生が表現されていましたが、具体的に何が変わったとお感じでしょうか?
中村 現状はむしろ、ドロドロとした展開でもしっかりといい手を指していて、しかも終盤での逆転勝ちも多くなってきています。そういったところでタイトル獲得、そして第一人者の地位を築いているのかなと。
豊島竜王の場合は、しっかりとここを強化しようという課題を見つけて、課題を克服するトレーニングをして実際に強くなって、しかも結果を出すというプロセスを踏んでいることが同じ棋士として素晴らしいと思いますね。いち早くAIを取り入れましたけど、明らかに弱点を克服するために有効活用した印象です。
紳哉 よくAIで棋士が強くなったとかいうじゃないですか。ただ僕は「AIで強くなったのって、豊島竜王だけなんじゃないか」って思ってるんですよ。
中村 その見解、興味深いです。