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藤井聡太19歳 “泣きながら勝った小学校3年生”が10年弱で《史上最年少四冠・竜王獲得》…タイトル経験者が「力負け」と脱帽する成長の源とは

posted2021/11/14 06:01

 
藤井聡太19歳 “泣きながら勝った小学校3年生”が10年弱で《史上最年少四冠・竜王獲得》…タイトル経験者が「力負け」と脱帽する成長の源とは<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

10代にして竜王獲得、そして史上最年少四冠を成し遂げた藤井聡太

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NumberWeb編集部

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日本将棋連盟

雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回は19歳にして将棋最高峰タイトルの竜王位を獲得した藤井聡太四冠にまつわる4つの言葉を写真とともに紹介します(段位・肩書は取材当時のもの)。

<名言1>
強くなる、という目標は変わりません。
(藤井聡太/Number1010号 2020年9月3日発売)

◇解説◇
 2020年、コロナ禍の日本列島を沸かせたのは17歳から18歳に差し掛かった時期の棋士・藤井聡太だった。将棋史上最年少となる数々の快挙は説明する必要もないだろう。

 そういった実績や記録面以上に――棋聖と王位というダブルタイトルを手にしても、そのコメントは18歳に似つかわしくなく謙虚かつ冷静で、何より一意専心であることも人々の心を打った。

 年齢による比較や段位などの肩書について興味を示すことはなく、見据えているのは「将棋を強くなる」こと。それと同時に「将棋界を代表する立場としての自覚は必要になるのかな」とも話していたことからも窺える。

 初タイトル獲得から1年後の2021年7月、藤井聡太二冠は第92期棋聖戦で渡辺明名人(棋王・王将)に3連勝し、自身初防衛を果たした。

 史上最年少九段昇段などが話題に上がった一方で、中継ブログ「ヒューリック杯 棋聖戦中継 plus」によると、対局から一夜明けた会見では「将棋というのは本当に難しいゲームで、この立場に立っても分からないことばかりだなと感じるので、これからも探究心を持って盤上に向かっていきたいという思いです」と語ったという。将棋の奥深さ、面白さを探求していく19歳は、さらにいくつもの名局、妙手を見せてくれるはずだ。

“教授”が見た藤井聡太飛躍の3要素

<名言2>
藤井さんを作ったものは才能、努力、環境だと思っています。
(勝又清和/NumberWeb 2020年10月11日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/845369

◇解説◇
 藤井四冠の強さや特別感は、数々の棋士の言葉からも見えて来る。例えば、子供達への将棋指導を熱心に行うなど“教授”の愛称で知られる勝又七段だ。

 Number1010号の解説では伝統的な囲いである矢倉について、2020年の棋聖戦第2局における藤井四冠の指し回しを「サッカーで例えれば、ゴールキーパーの前にフォワードがスライドし、センターバックとサイドバックがフィールドど真ん中から攻め上がるようなものです」と語りつつ、△3一銀における守備固めを「全ての変化を読み切っていました」と絶賛したほどだ。

 なお勝又七段はこんなエピソードを語ってくれたことがある。

【次ページ】 泣き続けたまま3位決定戦を戦い……

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