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来秋ドラフト「絶対的な高校生投手がいない」と言われるが…“大忙しだった2年生左腕”森下瑠大(京都国際)に期待する理由 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/11/12 11:02

来秋ドラフト「絶対的な高校生投手がいない」と言われるが…“大忙しだった2年生左腕”森下瑠大(京都国際)に期待する理由<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツ、夏の甲子園、近畿大会と2年生ながら多くの経験を積んでいる京都国際・森下瑠大

 小牧監督は言う。

「1年秋までは投球術だけで何とかごまかして来られましたが、この試合は外一辺倒のピッチングが最後にサヨナラ負けという結果になってしまいました。インコースに投げ込むことの重要性を感じたのではないですかね」

 2点リードで迎えた9回裏に連続安打でピンチを招くと、1死後に内野ゴロで1点を失い、さらに2死三塁から2四死球を与えてしまい満塁となった。追い詰められたその後、逆転サヨナラ二塁打を浴びゲームセット。最後までマウンドに立っていた森下は、当時のことをこう回顧する。

「満塁でのバッターの心理を考えて、アウトコースにしかボールが来ないのではと思い、セオリー通りに投げました。でも、最後はそのアウトコースのボールを打たれました。今思うとそれはバッターからすると楽な状況だったと思っています。センバツ以降は投球の幅をもっと広げないといけないと思ったし、コースの使い方に気を遣うようになりました」

 それまでは“思いたてばアウトコース”と、内角を突くことはほぼなかったという。だが、当時の正捕手の中川勇斗(阪神7位指名)と何度も話し合い、インコースの使い方を覚えていった。

「基本的に大事な場面ではインコースを突いていかないと、抑えられない。バッターの打ち気をそらしたり、インコースを見せることでアウトコースが広く見えたりすることもあるので、春の公式戦以降は徐々にアウトコースも見逃し三振が増えたと思います」

味わったことのない三振、好投手との投げ合い

 今夏の京都大会決勝の京都外大西戦。6-4とリードで迎えた9回のマウンドで、二死後、最後となった打者には全球インコースに投げ込んだ(結果は遊飛)。

「アウトコースに投げて打たれたら後悔すると思ったんです。夏の甲子園ではインコースの三振が増えて……中には今まで味わったことのない三振も取れました」

 3回戦の二松学舎大付(東東京)戦では、森下自身が理想とするインコースの使い方を駆使していた二松学舎大付の好左腕・秋山正雲(ロッテ4位指名)との投げ合いで刺激も受けたという。

「秋山さんはコントロールのズレがほとんどなくて、ストレートの伸びもまさに自分の投げたい球質でした。投げながら勉強になることばかりでした」

【次ページ】 苦しんだ各校の”森下対策”

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