入学当時から9キロ体重が増えたとはいえ、まだまだ細身に感じる体を太くし、まずは球威をつけることが課題だという。

「常時140キロ台後半のストレートを投げられるようになりたいです。そのために体を大きくして、いずれは150キロのストレートを投げるのが目標です」

　昨秋の小園健太（市和歌山・DeNA1位指名）や一昨秋の高橋宏斗（中京大中京・中日1位指名）、3年前の奥川恭伸（星稜・ヤクルト1位指名）と、ここ数年は翌年の高校生世代をけん引するような投手がだいたい秋に出現していた。ただ、今秋は現時点では「絶対的な高校生投手は今のところ見当たらない」という声を耳にする。2021年に大きく経験値を上げたというより、失敗を糧にして積み重ねてきた成長記録が、来年、森下をさらにどう変えていくのだろうか。

　取材を終え、冬の匂いが徐々に立ち込めつつあるグラウンドに戻っていった森下の背中から、来季への覚悟と、ほとばしる闘志をひしひしと感じた。