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天理大“絶叫キャプテン”「わずか4カ月で1部所属チーム退団」の真相…松岡大和が3部から目指す日本一「絶対に見返してやる」
text by
イワモトアキトAkito Iwamoto
photograph byAkito Iwamoto
posted2021/11/10 11:00
天理大の大学日本一を牽引した松岡大和。プロ選手として豊田自動織機シャトルズ愛知(ディビジョン3)に加入した
7月中旬、初めて参加したチームミーティングの雰囲気は最悪で最高だった。
新リーグの運営側から各チームの振り分けが正式発表され、豊田自動織機はトップリーグ2部にあたるトップリーグチャレンジで優勝するも新リーグでは3部にあたるディビジョン3に落とされたことが徳野洋一ヘッドコーチから選手たちに伝えられた。
「なんで3部なん? トップリーグチャレンジで近鉄に勝ったやん。その近鉄が2部で織機が3部ってどういうことやねん!」
チームメイトがこの結果をどう受け止めるのか、静かに様子を見つめていた。選手たちの目からは強い悔しさが伝わってくる。
「やってやろうぜ」
「絶対に見返してやる」
次々と選手たちから思いがあふれ、熱い言葉が重なり合う。いつしか3部から日本一を目指すことを全員が目標に掲げるようになった。
「本気度がめちゃくちゃ伝わってきて、僕も『これマジや!』って。ディビジョン1を目指すんやない。日本一を目標に掲げてやろうって。本気でやる人たちと本気でやりたい。心からそう思った」
「練習できるだけで幸せ」
8月に正式にプロ契約を結びチームへ。大阪市内から刈谷市の隣に位置する大府市へと引っ越しプロ選手としての一人暮らしが始まった。段ボールが積み重なった部屋の向こう、ベランダからは風に揺れる稲穂と豊かな山々が見えた。どことなく天理大の雰囲気が漂う“ちょうど良い田舎”感が気に入った。
「空気が良い。ここから日本一へ。できる気がしてきた」
朝の食事からトレーニング、体のケアまですべてにおいて求められるプロとしての意識。運動量に対してどの程度の食事をとればいいのか。チームは真剣だからこそ自ずとトレーニングはその激しさを増す。日々食らいついていくのに必死だ。ラグビーも私生活も求められるレベルは格段に上がった。「正直、まだいっぱいいっぱい」と苦笑いするが、それでもラグビーを追求することへの挑戦は楽しい。
「ほんまラグビー大好きなんで。練習できたらそれだけで僕幸せなんですよ。ん?試合の方が楽しいかな、いやラグビーできればどっちでもいいです」
その言葉通り全体練習が終わった後も一人タックルバッグを相手にジャッカルの動作を幾度となく確かめる。目指すプレーの先には日本代表としての夢も。天理大の同期で現花園近鉄ライナーズのシオサイア・フィフィタは一足先に桜のジャージに袖を通した。代表戦での活躍を見るたびに「俺も負けてられへん」と自分自身を鼓舞する。
「織機で試合に出続ける。その中でプレーを磨いて、体を作って。5年後、僕はそう考えてます」