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《NHK→報ステキャスター》大越健介が語る“直情径行型”だった東大エース時代「三振をとったら、『うりゃ!』みたいな」 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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photograph byWataru Sato

posted2021/10/31 11:03

《NHK→報ステキャスター》大越健介が語る“直情径行型”だった東大エース時代「三振をとったら、『うりゃ!』みたいな」<Number Web> photograph by Wataru Sato

『報道ステーション』メインキャスター・大越健介さん。東大エース時代は“直情径行型”だった!?

 もっと言うと、そういった強い気持ちで球場の空間と時間を支配することが大切だと思います。野球はピッチャーがボールを投げることで始まりますよね。だから、間合いのとり方や、牽制を入れるタイミングといった“投げない時間”のコントロールも投手の意思でできるわけです。少し大げさですが、球は遅くても、一級品の変化球を持っていなくても、「この試合は自分が支配しているんだ」くらいの気持ちで、キャラを演じることも大切だと思います。

キャスターとピッチャーは「似ている」

――お話をうかがっていると、投手の“仕事”はキャスターと共通点があるように感じます。報道番組もキャスターの進行とコメントを軸に進行しますよね。

大越 あくまで私の考えですが、投手経験者はキャスターに向いていると思います。少なくとも似ているところは多々ありますね。共演者やスタッフの方々と一緒に番組作りをしているわけですが、今見ているVTRの後にどんな一言をつけるか、あるいはあえて何も言わないか。ニュースを効果的に伝えるために、その都度、最適解を模索しています。キャスターが番組を支配する、とまでは言いませんが、現場の「時間と空間」に敏感であることは不可欠ですね。

――ご著書ではインタビューする際の心意気を“内角攻め”と書かれていました。とはいえ、対象者の聞かれたくないところを質問していくというわけではないんですよね。

大越 そうですね。前提として、インタビューは相手に気持ちよく話してもらう必要があります。もちろん役割上、“インコース”を投げないといけないケースもありますが、「これから私はあなたを内角攻めします」という顔をしていたら、絶対に相手は話してくれませんよね。喧嘩になるかもしれません。

 だから、まずは相手をリスペクトする。その中で、疑問に思うことはしっかり聞く。その際も、絶対に致命的な聞き方、つまり相手の“頭”の付近ではなく、“内角低め”に投げるんです。そうすれば、最悪相手は避けられますから。相手の聞かれたくないことをぐいぐい聞く、それで「どう? 私は今日の取材でインコース攻めしてやりました!」なんていうのは自己満足だと思います。(つづく)

(衣装協力:STORY & THE  STUDY、Atto Vannucci)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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