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渋野日向子は「岡山県、日本の宝ですから」 亡き恩人の言葉と、1年10カ月ぶり優勝に流した涙とスマイルの裏側 

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posted2021/10/11 11:04

渋野日向子は「岡山県、日本の宝ですから」 亡き恩人の言葉と、1年10カ月ぶり優勝に流した涙とスマイルの裏側<Number Web> photograph by Getty Images

1年10カ月ぶりの優勝を果たした渋野日向子

「気落ちしていたわけじゃないんです。でも何を目指して頑張っていこうかなとは考えていました。かなり最近まで無理だなと思ってたんです。5大メジャー制覇するって言ったけど、あれ無理だなあって」

 このように正直な気持ちを吐露している。畑岡奈紗や勝みなみ、原英莉花に小祝さくらといった「黄金世代」と呼ばれる面々に加えて、東京五輪メダリストとなった1歳年下の稲見萌寧、さらには古江彩佳や西村優菜、吉田優利ら2000年度生まれの「プラチナ世代」も台頭する女子ゴルフ界は群雄割拠だけに、自身の現状をしっかりと把握できていたのだろう。

 競争が激しい中で2021年春、渋野の心に勇気を与えたのはオーガスタでの出来事。そう、松山英樹のマスターズ初優勝だった。「私とは全然ストーリーが違いますよね。私は初出場で『行ったら勝った!』みたいな感じで」と自分との境遇を比較していたが、松山の快挙によって“挑戦し続ける”ことの価値について再確認したようだ。

「5大メジャーというよりも、もう1回メジャーに勝ちたい。それが目標になりました。これからもっと苦労してメジャーを勝てた時、たぶん全英で勝った時とは全く違う感情になると思うから。そうしたらもっといいことが喋れそう(笑)」

 そんな渋野は自らのスイング、ゴルフ内容について考え続け、鍛錬を続けていた。

 10月1週目の日本女子オープンでは通算2アンダーで5位となり、翌週に行われたスタンレーレディスでは2日目終了時点で首位と2打差の5位タイにつけると、6バーディー2ボギーで4つスコアを伸ばして10アンダーとし、4人でのプレーオフへ。2ホール目でバーディーを奪って2019年11月以来となるツアー通算5勝目を果たすと、“しぶこスマイル”とともに涙をこぼした。

亡き恩人が語っていた「岡山県、日本の宝ですから」

 なお渋野は会見で前所属先である岡山のテレビ局RSK山陽放送社長で、恩人の桑田茂さんが急逝したことについても触れ、感謝の念を口にしていた。桑田さんは高校時代から渋野の実力を知る人物だった。プロテストに合格後、渋野は同局のテレビ番組に出演し、その後には所属契約を結ぶという縁も生まれたほどだ。

「岡山県の宝、日本の宝ですから、所属選手として引き続き応援していければ、という思いがあります」

 桑田さんは生前、渋野についてこう評していた。この優勝が再び世界の頂点を目指すターニングポイントになるか――22歳の渋野は確実にたくましさを増している。

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