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「阪神園芸は神整備だし神対応なのか…」 前夜は雨→甲子園での試合当日朝に《職人の技》をじっくり見せてくれた 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph bySatoshi Shigeno

posted2021/10/01 11:02

「阪神園芸は神整備だし神対応なのか…」 前夜は雨→甲子園での試合当日朝に《職人の技》をじっくり見せてくれた<Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

阪神園芸の神整備を目の前で見せてもらった

「この辺りの状態、どうだろうか」

 金沢さんたちは一塁ベースから少し離れた場所付近にたどり着くと、ここもまた地道に土をならしていく。俊足のランナーが出た際、ダッシュ時に足を踏みしめるだけに、非常に大事なポイントなのだろう。もちろん一塁ベース付近以外の各守備位置でも、同じように手塩にかけて整えていた。

吸水性を上げつつ“転がる・弾む・走れる”ように

 これほどまでに丹念に、丁寧に……試合前から甲子園のグラウンドは整備されているのだ。金沢さんは「野球をしやすいグラウンドの作り方」について、このように説明してくれた。

「泥のように柔らかくなっているバッターボックスや練習で使った場所を、少し太陽に当てて乾かしたり、乾いた砂を入れています。ただ乾きすぎても水を吸わない状態になってしまうので、グラウンド全体でその作業をして、水を吸いやすい状態にするわけです。

 それと同時に走りやすい固さも追求します。例えば砂浜だと水を吸いますよね。でも砂浜並みに軟らかいと走れないしボールも止まってしまって、野球なんかできへん(笑)。なので吸水性を上げつつ、野球のボールが転がる・弾む・なおかつ走れるという固さを作る。それこそがいいグラウンドなのです」

 吸水性について金沢さんがイメージしやすい例として挙げてくれたのは「泥団子」だった。

「泥団子をドロドロのまま乾かしたら、固まりますよね。ただ、そこに水をかけてみても水を弾いてしまう……という遊びを子供の頃にしたことがあるのではないでしょうか。水が多い状態で固めてしまうと、外側だけが乾いている状態で吸水性が高まらないからなんです。グラウンドに乾いた砂を入れたり、太陽に当てて乾かす際にも、ちょうどいい水加減にして固めていくんです」

 なるほど、「雨降って地固まる」。ことわざ通りなんだなと感心するばかりである。

午後に入ってもグラウンド整備は続く

 正午に近づくにつれ、球場にはカラッとした青空が広がる。早出で自主練習に励むタイガースの選手の姿も見え始めた。

「休憩が終わると13時から練習の準備に入ります。グラウンドに散水したりラインを引いて、14時からタイガースの練習、16時からビジターの練習に臨んでもらいます。そして17時15分頃にビジターの練習が終わってから、軽く整備をします。その後、シートノック終わりで最後の仕上げですね。18時の試合前にラインを引き直して、またグラウンド散水をする。これが試合前の整備・準備になります」

 うーむ、何かあれば整備をしているのか。練習段階から最高の環境を用意している阪神園芸に対して、そりゃ選手たちは感謝するばかりだな……と感銘を受けていると、金沢さんはグラウンドキーパーとして、お天道様に対する思いも話してくれた。

【次ページ】 水を遮りすぎると固まりすぎてしまう

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