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佐藤輝明が「復調する可能性は十分にある」 藪恵壹が語る“阪神逆転優勝の条件”《セ・リーグ優勝争い大詰め》

posted2021/09/30 17:07

 
佐藤輝明が「復調する可能性は十分にある」 藪恵壹が語る“阪神逆転優勝の条件”《セ・リーグ優勝争い大詰め》<Number Web> photograph by KYODO

残り試合数は「21」。阪神が優勝するためのポイントを藪恵壹が語った

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藪恵壹

藪恵壹Keiichi Yabu

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 セ・リーグの優勝争いが佳境を迎えています。阪神は残すところ21試合で、首位ヤクルトとのゲーム差は1。ここから阪神が逆転優勝を狙うには、湿り気味の打線の奮起が欠かせません。

 9月29日の対広島戦も、あと1本が出ませんでした。勝負の分かれ目は、6、7回と連続で迎えた満塁のチャンス。あの好機を逃した悪い流れが、8回の3失点につながったと思います。ヤクルトが敗れたので、阪神はどんな形でも勝って首位に並びたいところでした。

今、佐藤輝明に伝えたいこと

 阪神打線といえば、佐藤輝明の不振がフォーカスされがちです。29日は代打で出場も凡退して、「54打席連続無安打」になりました。ただ阪神が今、優勝争いできているのは前半戦の佐藤の活躍があったからこそ。無安打が続いているとはいえ、打率もいまだに.244。そして何より1年目であることを考慮すると、決して責められるような数字ではありません。

 きっと今、佐藤はシーズンが恐ろしいほどに長く感じていると思います。私も1年目の終盤、体重がみるみる減って、“ガス欠”になりましたから。「あぁ、プロ野球のシーズンはこんなにしんどいのか……」と打ちひしがれたことを覚えています。

 その中で佐藤がやれることといえば、「素振り」の数を増やすことだと思います。体力的な疲れもあって、シーズン前半の「鋭い振り」がなくなっているように見えます。あの振りを取り戻すためには、とにかく振り込むしかない。王貞治さんや長嶋茂雄さん、松井秀喜、金本知憲……といった歴代の強打者も、シーズン中の継続した、徹底した素振りで自らの型をつくっていきました。

 そのうえで、打席に立ったらすべてを忘れて、来た球を強く打つことだけを意識する。佐藤の良さは、なんといってもあの豪快なフルスイングです。今、彼に声をかけるとしたら、「何も考えずに、開き直れ!」ですね。気持ちの切り替え次第では、シーズン中に復調する可能性は十分にあると見ています。すでに記録している「23本」という本塁打数も、1年目ではありえない数字。でも彼なら25本も目指せる。そう信じています。

 阪神打線の低調を考えたとき、私は佐藤よりも、梅野隆太郎とサンズが気になります。直近5試合で、梅野が16打数1安打なら、サンズが19打数2安打。下位打線とはいえ、1番近本にチャンスでつなげる意識で粘りたいところですね。あとは現在4番を任されている大山悠輔。状態はまずまずといったところだと思いますが、数字的には物足りません。4番に座っているわけですから、佐藤の23本は越えてほしいですね。

 ここからの優勝戦線を阪神が勝ち抜くためには、上述した打線の奮起に加えて、2つポイントが挙げられると思います。

【次ページ】 優勝ラインは「78勝」。カギは“三本柱”の復調と……

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