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「ガチな野球ファン以外を取り込む」期待と不安渦巻く“ホリエモン新球団”は「球界の救世主」になりえるか<切り札はスポーツの賭け事!?>
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byAFLO
posted2021/09/23 11:04
「ホリエモン新球団」が本格始動。会見で堀江氏が明かした「球団を作った理由」と「将来構想」とは
2013年、楽天の日本一は「本当に嬉しかった」
これからは地方の時代、それにエンタメやレジャーが必要となる時代が来るはずなのに、逆行する球団削減の動きが許せなかった。堀江氏はそう振り返った。
結果的に、その読みは見事に的中している。仙台に東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生し、日本ハムは北海道へ移転して人気を博した。2013年、堀江氏はイーグルスが制した日本シリーズを仙台の球場で生観戦したという。
「感動しました。正直、自分がやらなくても良かったけど、誰もやらないから手を挙げただけ。だから楽天の日本一は本当に嬉しかった」
正直、歯に衣着せぬ物言いもありアンチも多いホリエモンだが、次の時代を見通す嗅覚は「さすが」と頷くものが多かった。
また、独立リーグの将来構想についても話題が及んだのだが、そちらもなかなか興味深かった。
独立リーグ×スポーツベッティングの可能性
「独立リーグは選手を安く使っているという批判もあることは理解しています。それをスポーツベッティング(スポーツに関する賭け事)で解決できるのではないかと考えています」
これに相当する「野球くじ」は2018年にNPBと12球団の間で導入検討が明らかになったが、見送られた経緯がある。
しかし、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法が今年7月19日に全面施行となり、ここにきてスポーツベッティングの機運が再び高まっている。
「独立リーグは身軽な分、(新しい取り組みに)対応しやすいのではないか」
独立リーグにおいてスポーツベッティングが導入されれば、野球振興事業の助成金が得られる可能性があり収益増加が見込める。当然、選手やスタッフらの待遇改善につながる。また、野球ファンのみならずスポーツファンからの注目度も関心度もおのずと高まる。チームを知り、選手名を覚えようとする動きは必ず出てくる。つまり、スポンサー獲得へ大きな後押しとなる。
クリアすべきハードルは数知れず。メリットがあれば当然デメリットもあるが、挑戦する価値はある。「独立リーグ」のネガティブな枠組みをぶっ壊す、あるいは日本でNPBに匹敵する「ビッグリーグ」がもう一つ生み出される最後の一手かもしれない。
コロナ禍で経済は停滞し、少子化の歯止めはきかず、野球人気の低下も言われて久しい。その中で、独特の感性と行動力をもつホリエモンのような革命者は必要な存在かもしれない。