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【Bリーグ開幕】「僕は日本で一番のビッグマン」シェーファーアヴィ幸樹が明かした、世界との距離を縮めるための覚悟。 

text by

大西玲央

大西玲央Reo Onishi

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photograph byB.LEAGUE

posted2021/09/28 11:00

【Bリーグ開幕】「僕は日本で一番のビッグマン」シェーファーアヴィ幸樹が明かした、世界との距離を縮めるための覚悟。<Number Web> photograph by B.LEAGUE

武器にもなった3Pシュートだが

 バスケットボールにおけるビッグマンの役割は、常に変化しており、選手たちはその対応に追われる。かつては屈強な巨人がゴール下に君臨していた世界だったが、少しずつプレーエリアは外へと広がっていき、3Pシュートを打つことが当然とされ、近年では中でも外でもプレーできるハイブリッドタイプが好まれる傾向にある。

 シェーファー自身にとってのビッグマンの理想像も変化し、新たな理想像を組み立てている最中とのことだ。以前はティム・ダンカンが好きでよく見ていたが、今はジョエル・エンビードのような「インサイドでやるだけじゃなく、シュートも打てて、ステップも踏めて、いろんな動きができることも大事だと思います」と述べる。

 実際、Bリーグ入りして最初の2シーズンで1本しか打っていなかった3Pシュートを、昨季は三河で103本打って37本決めている。代表では昨年2月に行われたアジアカップ予選の台湾戦で1本決めたことが、ターニングポイントになった。

 3Pシュートを打つようになってからは、よりリングが見えるようになり、落ち着いたプレーができるようになっていった。これまで3ポイントラインでボールを貰っても、次に誰かに渡さなければと焦っていたところに、「何もなければ打てばいい」という選択肢が加わったことで、プレーの幅が広がり、見える景色も変わった。

 しかしプレースタイルを広げた上で挑んだオリンピックでは、逆に戸惑いを感じたと彼は話した。3Pシュートを意識しすぎたのだ。

「インサイドでプレーすることとか、ピック&ロールへの意識とか、そういうところが疎かになってしまいました。3Pシュートが自分の武器としてありますが、それが唯一ではないので、うまくほかのプレーと併用し、できることを増やしていく上では、プレースタイルが定まっていない感じがありました。その辺りは(今季)改善していかないといけないと感じましたね」

今季のテーマは「自分のところでやられない」

 ビッグマンとしてコートに立ち続けるためには、オフェンスだけでなくディフェンス面での向上も不可欠だ。試合の状況によってガードやウィングを守らなければならないシーンも多く、今季は「自分のところでやられない」ことをテーマに掲げている。

 シーズン中は自分のスタッツだけでなく、ライバルビッグマンの数字も細かくチェックしている。これまでは日本人ビッグマンに対してライバル意識を持つことが多かったが、今季はさらにその対象を広げる。

「僕は日本人で一番のビッグマンだと思っているので、それは譲りません。日本人だけで張り合うのではなく、外国籍選手、帰化選手と張り合って、僕が勝つ気持ちでやらないといけない。そういう意識でいます」

 外国籍選手の多くがビッグマンということもあって、どうしても「つなぎ役」という目で見られがちなBリーグの日本人ビッグマンだが、シェーファーはインサイドを主戦場とする日本人選手としての覚悟をこう口にした。

「そのイメージは変えていかなければならない。ビッグマンが中心になるのであれば、日本人ビッグマンが中心になってもいい」

シェーファーアヴィ幸樹

1998年1月28日、兵庫県生まれ。高校で本格的にバスケを始め、卒業後に渡米。NCAA1部ジョージア工科大を休学し、2018年12月にA東京に加入。滋賀を経て2020-21シーズンから三河でプレー。東京五輪ではスペイン戦に出場し、得点も決めた。PF/C。206cm、106kg。

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