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「挑戦を終わらせる覚悟がない」岡崎慎司35歳がスペイン2部・カルタヘナに移籍した“本当の理由”「佐藤由紀彦さんに憧れて…」
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寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2021/09/13 17:20
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ウエスカからスペイン2部のカルタヘナへと移籍した岡崎慎司。欧州での戦いを続ける彼の目指す先は…
「挑戦を終わらせる覚悟がない」
思えば、2011年に欧州へ渡って以降、岡崎がJクラブで練習を行うことはほとんどなかった。日本での快適な環境に馴染むことを危惧しているからだろう。
しかし、欧州からのオファーはない。日本への復帰も頭によぎった。
「もし、ヨーロッパのクラブと契約できなければ、日本も視野に入れなくてはならないと思うこともあった。オファーがなければ諦めるしかない。ヨーロッパでのチャレンジを終えるしかない……と。年齢的にも日本へ帰ってしまったら、二度とヨーロッパへは戻れない。ただ僕にはまだその覚悟ができていないことを自覚した。挑戦を終わらせる覚悟がない」
「負けたくない」“承認欲求”の強さが示すもの
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初めてスペイン1部リーグでプレーした昨季は、負傷での出遅れ、監督がパチェタに代り出場機会が激減し、ウエスカの残留争いに力を尽くせなかった。
「やっぱり悔しい想いしか残っていない。ヨーロッパに来てから悔しい想いばかりをしてきた。そういう意味では見返したい相手がたくさんいる」
Jリーグで活躍できたとしても、見返したい相手には届かない。その心残りがモチベーションとなる。岡崎の執着心がオファーを引き寄せたのかもしれない。ウエスカの監督だったパチェタも今季は同じ2部のレアル・バリャドリードで指揮を執っている。
「負けたくないというか、認められていないと感じるので、認められたい。ここから這いあがれれば、何も言われないだろうなって」
35歳の岡崎が抱える承認欲求の強さには驚く。もう十分認められているだろう、誰も何も言っていないだろうと思うのだが、ヨーロッパに身を置く彼にとっては「足りない」のだ。
活躍の場を求めて移籍を重ねた、佐藤由紀彦のように
それでも、岡崎は自分が理想とする道を歩めているという手ごたえがある。
「自分が思い描いていた『ギリギリのサッカー選手』をやれている。僕はずっと佐藤由紀彦さんに憧れてきました。由紀彦さんのようにその人間にしか辿れない道を歩むことがカッコイイと思っているので」
現在FC東京でコーチを務める佐藤由紀彦は、清水商業高校から、1995年清水エスパルスでプロデビュー後、モンテディオ山形、FC東京、横浜F・マリノスと渡り、清水へ戻るが柏レイソル、ベガルタ仙台を経て、Jリーグ合同トライアウトに参加し、当時JFLだったV・ファーレン長崎に加入し、2014年現役を引退した。