甲子園の風BACK NUMBER
《高校野球》神奈川はいつも完売? スカウトも見る“地方大会のパンフレット” 充実の出来は新潟と長崎、大阪は…
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph bySankei Shimbun
posted2021/08/09 17:01
3年ぶり19度目の甲子園出場に沸く横浜高校。神奈川は高校野球の人気どころとあって毎年、パンフレットは売り切れ必至
この中で毎年、“注意”しているのが神奈川大会のパンフレットだ。神奈川の高校野球人気は全国でも間違いなくトップクラスで、横浜や東海大相模といった人気校のほか、松井裕樹(桐光学園→楽天)といったドラフトの目玉が登場する試合は、秋季大会や春季大会でも徹夜組が出るほど。そのような事情もあって、このパンフレットも大会終盤になると“売り切れ”という事態も発生。そのため、早めに確保することを常としている。
今年は7月15日に保土ヶ谷球場で行われた試合に足を運んだが、無事に購入することができた。
そんな神奈川大会のパンフレットの最大の特徴は監督による座談会である。春の県大会のベスト8に進出した監督が一堂に会して各校の戦力などについて話すというのが恒例となっているが、今年はコロナ禍ということもあって各監督がアンケートに回答する形で掲載されていた。また、ベスト8を逃したチームの注目選手についても細かく紹介されており、このあたりも熱心なファンをも納得させる、さすがの内容だ。
ばらつきがあるデータの充実度
特集だけでなく、むしろ、高校野球を観るファンや関係者が最も重要視しているのが選手の情報である。学年やポジションはもちろんだが、特に助かるのは身長、体重、投打のデータ部分である。投打に関しては、試合を見ていればある程度分かるが、リリーフ当番のみで終わった投手の打席など、分からないケースも多い。パンフレットに投打の記載がない場合は、スタンドにいる控え部員や保護者に尋ねて確認することも珍しくない(コロナ禍でそのような取材すらも難しい)。
今年の夏に入手した15冊のパンフレットの中で身長、体重、投打が全て掲載されていたのは岩手、群馬、神奈川、東京(東東京・西東京)、新潟、長崎の6冊と半分を下回る結果となった。
身長と体重はあるが、投打がないのが茨城、和歌山、島根、福岡の4冊。投打はあるが身長、体重がないのが千葉と愛知。残りの青森、埼玉、長野に関しては学年とポジションのみの記載となっている。こう見ても意外と地区によってばらつきがあることが分かる。