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金メダリスト入江聖奈20歳が読んでいた『がんばれ元気』ってどんなマンガ? 40年越しの脚光、アニメ版の続編を!
text by
高木圭介Keisuke Takagi
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2021/08/05 11:00
女子ボクシング初の金メダルを獲得した入江聖奈(20歳)。40年前に連載が終了している漫画『がんばれ元気』がボクシングを知るきっかけだった
そんな『~元気』がTVアニメ化されたのは昭和55年7月のこと。ちょうど日本のモスクワ五輪不参加が確定し、日本のスポーツ界が激震に見舞われていた頃だった。
漫画連載はすっかり佳境に入っており、青年・元気の姿に目が慣れていた読者は、ブラウン管の中で久々に目にした、声が一休さん(藤田淑子)と同じ、ちびっ子の元気に戸惑いつつも、森田公一の作曲、NHKみんなのうた『小さな木の実』などでおなじみの海野洋司作詞による主題歌『風になれ!』、エンディング曲『まっ白なリングへ』の完成度も高く、すぐに小学校の教室でも男子を中心に人気となっていた。
つい半年前までは人気作『ドカベン』が放送されていたフジテレビ水曜夜7時枠だったが、裏番組が強力でもあった。まず女子層は当時、圧倒的人気を誇っていた『ベルサイユのばら』(日本テレビ)に流れ、幼児と特撮好きは『ウルトラマン80』(TBS)、そして放送6年目に突入していたフランキー堺司会の『霊感ヤマカン第六感』(テレビ朝日)の人気も根強いという激戦区だったのだ。
40年を過ぎた今も完結していない?
81(昭和56)年3月、原作漫画は週刊少年サンデーでの連載を完結。アニメ版も翌4月1日、元気のボクシングの師匠であり、芦川先生の元彼である三島栄司が亡くなったあたりで終了してしまうのである……。
せめてあと半年、いや3カ月もあれば、あの感動的かつさわやかな余韻を残すラストシーンを、完成度の高い主題歌orエンディング曲とともに味わい、日本中が感涙必至だったというのに……だ。
『はいからさんが通る』(大和和紀作)などもそうだったが、この時代のTVアニメは無慈悲な「オトナの事情」によって、未完結のまま最終回を迎えてしまう作品が多かった。
アニメ版が原作に追いついてしまうというパターンで見ると、アニメ第1作(70〜71年、フジテレビ)がカーロス・リベラ戦あたりで終了していた『あしたのジョー』は、9年のタイムラグを置き、放送局(フジ→日本テレビ)も制作会社(虫プロ→東京ムービー新社)も変わりつつ、ジョーがホセ・メンドーサ戦で真っ白な灰になるまでを描き切った。
しかし、『~元気』ときたら、放送終了から40年が過ぎた今も完結される見込みはないまま……。