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「今日はトノサマガエル」ボクシング女子初の金メダル! 20歳・入江聖奈の笑顔と“コメント力”に脱帽
posted2021/08/04 20:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
彼女が笑えば会場が笑う、彼女が泣けば会場が涙する。
この夏、入江聖奈というアスリートにはそんな魅力を感じた。
日本ボクシング界、女子選手としては史上初の金メダル。五輪初出場で、20歳で、世界の頂点に立つ偉業をやってのけた。
今大会、入江が登場すると東京五輪のボクシング会場である両国国技館は彼女の“色”に染まっていた。「聖奈スマイル」で入場すれば、会場中のスタッフが笑顔に変わる。日本女子初のメダルを確定させた準々決勝で勝った瞬間、入江は笑いながら泣いていたのだ。周囲の人たちはというと、同じように涙しながら、笑っていた。
世界の頂点に輝いた瞬間も彼女の笑い顔、泣き顔に会場は酔いしれ、中継を見ていた視聴者も入江と同じ表情に導かれていたことだろう。
周りを虜にする不思議な魅力を持つ選手、それが入江聖奈という人間だ。
「ボクシングはこれで終わり」
金メダルを獲得した後の会見では、すでに次のキャリアを話し始めた。
「ボクシングはこれで終わりです」
そう、あっさりと言い放った。メディアの質問に対する反応も速い。言いよどむことや考えこむこともせず、コメント内容だってユーモアに富んでいる。ボクシングの実力もさることながら、自らをプロデュースする才能も抜群だった。