球体とリズムBACK NUMBER
「J1でもJ2でも、私がやることは同じだ」モンテディオ山形を覚醒させたクラモフスキー監督 戦術以上にアツい“人心掌握と強度”
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/08/05 11:00
山形の地で復活を遂げているクラモフスキー監督
「山形はとても美しく、誇り高い地域で、クラブの熱意にも特別なものがある。(清水を去った後に)フリーだった時、モンテディオから連絡を受け、クラブを多角的に精査した。そして自分と通じるものが多いことがわかり、この野心的な挑戦に身を投じてみようと思ったんだ」
劇的な変化に見えるが「チームのカラーはあまり変わっていない」
無所属だった頃の彼にオファーしたクラブは、山形以外にもあったという。それでも「一番手に飛びついたりせず」に、それぞれのプロジェクトを吟味した上で、下位に沈んでいたモンテディオで勝負すると決めた。
激変した数字と結果を見れば、新監督がすべてを変えたような印象を受ける。我々外部の者はつい、そんなわかりやすい捉え方をしがちだ。だが実際は、昨季からの積み重ねでもあると、最古参の主将、山田拓巳は教えてくれる。
「チームのカラーが大きく変わったわけではないんです」と山形一筋で14シーズン目を送る31歳のSBは話す。
「去年、石丸(清隆)監督になってから、それまでの山形よりも攻撃的になりました。そこにピーターが良いスパイスを加えてくれて、結果がついてきたという感覚です。ただ監督が交代する前に、自分たちで改善できることもあったはずなので、選手として責任を感じています。(石丸)監督だけが責任をとって、離れていってしまうのは心苦しかったです」
監督は試合に向けた雰囲気づくりが本当に上手い
急に連勝できるようになって、「すこし複雑な気持ちもある」と責任感の強い主将は明かす。ただ同時に、新監督の手腕には感銘を受けている。
「ピーターは試合に向けた雰囲気づくりが本当に上手いんです。選手たちに、とことん勝負にこだわらせ、モチベーションを高めていく。誰もが、絶対に勝つんだ、自分たちがやってやる、というテンションになれるんです。戦術面というよりも、そうしたメンタル面が大きいと思います」
マリノス時代にクラモフスキー監督の指導を受けた山田康太も、似たようなことを話す。