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久保建英からの“Kサイン”で取材殺到に「多少の悔しさ」… 山田康太がJ2山形でオーストラリア人恩師と目指す「なんでもできる選手」
posted2021/08/05 11:01
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
J.LEAGUE
「僕への取材内容が久保選手が久保選手が。って全部本人に聞いてほしいです。今日も長く建英の事聞かれたけど自分もサッカーで上を目指してるし多少の悔しさも持ちながらオリンピックだって応援してます。今後は個人の事だったりモンテディオについて沢山話したいし注目されたい。頑張れ日本!」(ツイートの原文ママ)
7月29日夕方、モンテディオ山形の山田康太は、そうつぶやいた。そのオンライン取材に出席した者として、彼の気持ちはよくわかる。
久保建英の「Kサイン」で取材が殺到
東京五輪で日本代表のエース久保建英がゴールを決めた後、テレビカメラの前で「K」のサインを披露。これが仲の良い山田康太に宛てたものだとわかると、モンテディオには多くの取材の申し込みが寄せられたという。
なにも自分だけ良い格好をしたいわけではないが、筆者はもとより懇意のピーター・クラモフスキー監督から連絡を受け、絶好調の山形を取材することになり、クラブで唯一、過去に指揮官の指導を受けたことのある山田康太にも話を聞きたいと思った。
すると、監督と主将の山田拓巳のインタビューは練習再開初日に組んでもらえたが、山田康太の取材は各所との調整を経て、翌々日に設定された。
予想できたことではあったが、地元のテレビ局も新聞社も、全国的なスポーツ紙も通信社も、「久保選手」について質問を投げかけた。山田選手ではなく。
きっと、どんな相手にも敬意を払う優しい青年なのだろう。画面上で十名ほどの報道陣と対面した山田康太は、自分の正直な気持ちを抑えて、久保が出したサインや親交のいきさつ、初対面の印象などについて、笑顔を交えてなるべく丁寧に答えようとしていた。