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東北は“ドラフト注目”風間球打(明桜)だけじゃない…青森で見つけた“2年前巨人ドラ1”と比較される高3右腕《夏の甲子園》 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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posted2021/08/03 17:04

東北は“ドラフト注目”風間球打(明桜)だけじゃない…青森で見つけた“2年前巨人ドラ1”と比較される高3右腕《夏の甲子園》<Number Web> photograph by KYODO

八戸西高の福島蓮(3年・189cm74kg・右投右打)

 この試合、スターティングメンバーには「5番ライト」で登場した八戸工大一高・黒田。

 うわっ、いいなー……と思わず声が出たのは、彼がライトのポジションに走っていくランニングフォームだ。腕を前後に大きく振っても、頭がまったく揺れない。膝の上がりと力強い後方への蹴り上げ。スパイクの足の裏が、はっきりこちらに見えている。

 野球が大好きなヤツだ。

 投手が他のポジションを守りに行くときによく見せる、今日は外野かぁ……みたいな「心の曇り」がかけらも見えない。心身ともに躍動している。アスリートの走りだ。

 確かにスカウト好みのフレッシュな投手には間違いない。

 予定よりちょっと早めか……3回二死一塁からリリーフでマウンドに上がる。豪快なボディースイングから腕を振り下ろして、力を入れて投げたいタイプに見える。

 リリースでタイミングが合った時の猛烈な速球は、評判通り145キロ前後だろう。捕球点で、捕手のミットがブルッと震える。このボールを増やしていけばいい。夢を見たくなるホームベース上の痛烈さだ。

 追い込んだあとの勝負球で力が入り過ぎて球道が暴れる。これが、なんとも惜しい。

 フィニッシュで力が余って、フォームのバランスが崩れている。投手にとって、これは怖い。放っておくと、ボール球になった次の投球でもバランスが崩れがちになって、そこからカウントを苦しくし、ストライクを取りにいって狙い打ち。負のスパイラルを起こして、「炎上」につながってしまうことがよくある。

 これが、たとえば1年前の「2年夏」なら、躍動感あふれる投球!で済まされるかもしれないが、来年の春はプロで投げようというほどの投手なら、バランスを大切にした上での140キロ後半でないと、ちょっと困る。

 快速球同様の猛烈な腕の振りで投げ込んでくるフォークは、おそらく130キロ後半は出ているはず。落差もあって、プロでも勝負球として通用する動きの鋭さだ。

 粗けずりでも「最大値」は計り知れない。こうした「落差」も魅力の一面になっているのだろう。

「まとまりなら堀田、伸びしろは黒田」

 同じ青森の快腕で、2019年のドラフト1位で巨人に進んだ堀田賢慎(青森山田高)と比べて、こういう表現をしたスカウトの方がいた。

【次ページ】 「まとまりなら堀田、伸びしろは黒田」

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