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東北は“ドラフト注目”風間球打(明桜)だけじゃない…青森で見つけた“2年前巨人ドラ1”と比較される高3右腕《夏の甲子園》
posted2021/08/03 17:04
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
さすがに青森まで来れば少しはヒンヤリと、この暑さもひと息つけるかな……と思ったら、海に近い市営球場でも、炎暑はまるで変わらない。
なんでも、夏の太平洋高気圧が東北・北海道方面に偏って張り出しているらしく、バスの停留所から球場まで10分ほど歩いただけで、もう汗びっしょりだ。
夏の甲子園予選が本格化しておよそ2週間。もともと色黒のスカウトの方たちの「顔色」が、一段と濃くなった。そんなスカウトたちがネット裏に30人ほども集まって、本日の第2試合は、ドラフト上位候補の大型右腕同士が対決する。
八戸西高・福島蓮(3年・189cm74kg・右投右打)vs.八戸工大一高・黒田将矢(3年・188cm85kg・右投右打)。
同じ八戸という町の高校生がこうした「立場」で投げ合うのは、長い「青森高校野球」の歴史でも、初めてではないか……と、球場詰めのある先生が教えてくれた。
両校は、昨年秋の県大会でも対戦している。この時は、八戸西高・福島が5安打1失点で八戸工大一高を完投で抑え、センバツ21世紀枠選出につながる東北大会出場に弾みをつけたが、投げ合った黒田のほうは、まだ「上」が140キロにも届いていなかった。
それが、ひと冬の懸命なトレーニングを経て、この春には一気に148キロにまで球速を伸ばし、もともとが長身から投げ下ろす角度十分の球筋は注目されていたから、一躍東北地方トップクラスの本格派の素材にまでランクアップされたのだ。
【1】「189cmながらショートも出来そうな」福島蓮(八戸西)
試合が始まって、先にマウンドに上がったのが、八戸西高・福島。
初回、右打者の顔のあたりに「暴発」したような速球が2つ、3つと襲ったから驚いた。