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雄星、大谷、朗希…岩手からまた“怪物”が? 花巻東の1年生・佐々木麟太郎のホームランがスゴい 

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西尾典文

西尾典文Norifumi Nishio

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posted2021/07/25 17:00

雄星、大谷、朗希…岩手からまた“怪物”が? 花巻東の1年生・佐々木麟太郎のホームランがスゴい<Number Web> photograph by PABB-lab

豪快なホームランを放ち、堂々と帰還する1年生の佐々木麟太郎(花巻東)。惜しくも甲子園出場は逃したが、将来が楽しみなスラッガーだ

 結局、この日のヒットは第1打席のホームランだけだったが、凡打も見どころは十分だった。

 第2打席は少し内よりの速いボールを引っ張り、打った瞬間は完全にライト前ヒットかと思われたが、セカンドがライトの前に守る“麟太郎シフト”に引っかかりセカンドゴロ。

 第3打席は外角高めのボール気味のストレートに空振り三振を喫したが、その前のボールをライトポール右のスタンドまで低い軌道の弾丸ライナーで運んでいる。

 さらに第4打席はこれもレフトが極端にセンター寄りに守るシフトでアウトとなったが、ホームランにしたボールよりも少し速い106キロの外のカーブをしっかりとらえて左中間に運んでおり、通常の守備位置なら間違いなく長打という当たりだった。

 ちなみに相手の水沢工のエース、山本陸駆(3年)はストレートこそ120キロ台前半ながら、緩い変化球を巧みに操る技巧派のサウスポーで、この日も花巻東打線を6安打、2失点に抑え込んでいる。左の強打者タイプである佐々木にとっては最も厄介なタイプの投手とも言えるが、そんな好投手に対しても全く崩されることなく快音を連発していたのは見事という他ない。

甲子園は来年以降に持ち越し

 しかし、花巻東は24日の決勝で強打者・金子京介擁する盛岡大付に4-9で敗れ、惜しくも甲子園出場とはならなかった。

 ただ今大会の5試合で2本のホームランを放ち、盛岡大付も準決勝と同様に“麟太郎シフト”を敷かれるなど、1年生とは思えない強烈なインパクトを残したことは間違いない。

 岩手の“新怪物”がこれからどんな伝説をつくっていくのか。きっと来年は、多くの観衆の前で凄みを見せつけてくれるはず――まずは秋以降の成長をしっかりと見届けることにしたい。

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