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福島県予選で波乱「14回連続甲子園が消えた夏」 聖光学院監督が明かす“最後のミーティング”「選手たちは笑顔だった」
posted2021/07/25 17:45
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
記者とテレビカメラに囲まれる。
聖光学院の斎藤智也監督は、インタビュールームの床を脚の指で掴むようにしっかりと立ち、目線を前に向け、質問を待っていた。
――敗因は何か?
当然聞かれるだろうなと思っていたと言わんばかりに、斎藤はすぐさま見解を示す。
「春も苦戦しましたし、夏も組み合わせが決まった時に『一番の山だ』と、選手には伝えていました。相手の星君を褒めるしかない。ピンチでも動じずに投げていましたし、うちの選手がプレッシャーを感じていたのか? と思わせるようなピッチングでした。もっと勇ましく立ち向かわないといけませんでした」
準々決勝の相手である光南は難敵だった。春季大会は4-0で勝利しているとはいえ、うち2点は相手のミスによる得点だった。
「光南は強い」
その認識は聖光学院の指導者に根付いており、部長の横山博英も試合前、選手たちにこう釘を刺していたほどである。
「光南は去年だって、まともに練習できない公立校のハンデを乗り越えて決勝まで勝ち進んできたチームだ。春からさらに成長している、本当に強いチームだからな」
試合では相手エース・星勇志の投球に翻弄された。斎藤は「初球から打っていく積極性があった」と攻撃の姿勢を尊重したが、5回までの15アウトのうち8つがフライで、試合を通じての安打は5本。8回にホームスチールの奇襲で1-1の同点とし流れを引き寄せたかに思えたが、その裏に集中打を浴び4点を勝ち越されるなど後手に回ってしまった感は否めず、1-5で敗れた。
光南が強かった。結果だけで判断すれば、斎藤が言うように敗因はそこに尽きる。
「87連勝」が止まった日
ただしこの日――7月20日に聖光学院が喫した負けは、ただの負けではない。