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“イニエスタも虜になった”26歳古橋亨梧ってどんな選手? 岐阜→神戸→最高クラスの7億で名門セルティックへ
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2021/07/23 17:30
日本人最高クラスの約8億円で、プレミアリーグ1部のセルティックFCに完全移籍した古橋亨梧
そのチームを立て直すべく、クラブは横浜F・マリノスからアンジェ・ポステコグルー監督を招聘した。日本をよく知る指揮官はテコ入れの優先として献身的な守備と高い決定力を持つ古橋にターゲットを絞り、交渉を始め、移籍を実現させた。「彼は素晴らしいクオリティの持ち主だ。我々のスカッドに特別なものをもたらすと思っているし、彼のプレースタイルがサポーターを魅了するものになると確信している」と、古橋の活躍を楽しみにしている。
現地では、中村以来の日本人選手として、それ以上の活躍を期待されているようだ。もっともタイプもポジションも違うので、古橋の方がFWとして結果を求められる分、よりシビアな見方をされることになる。ただ、セルティックはリーグ下位を争うチームではなく、優勝を争うチームなので、全体の能力は高い。よくありがちなカウンターだけのチームではないので、古橋の技術やスピード、決定力が多分に活かされるだろう。
システムは、ポステコグルー監督がマリノスで指揮した際と同じ4-2-3-1だ。
セルティックの前線は、昨シーズン22得点を挙げたエースのオドソンヌ・エドゥアール(オランダ)が軸になっている。チーム状況にもよるが、古橋ならトップはもちろん、F・マリノスで仲川輝人が機能したサイド、トップ下のマルコス・ジュニオールの役割も十分果たせるだろう。セルティックは左の攻撃がやや手薄だが、そこを補うこともできる。システムにおける役割については問題ないだろうし、プレーも神戸でやってきたことをそのまま出せれば、どこのポジションでもフィットしていくことは可能なはずだ。
ただ、不安がないわけではない。
活躍を左右する「3つの不安点」
まず、チームに戦術が浸透するまでに時間を要することだ。マリノスでは戦術が浸透するのに1年かかっている。対戦していた古橋なら求められるものが分かるだろうが、それが全体に浸透し、機能するまでどのくらい時間が必要になるのか。そのプロセスの中で結果を出していけるのか。
また、海外での生活にフィットできるかどうか。グラスゴーの天気は曇りが多く、どんよりして冬は寒い。憂鬱な気分になることも多く、食事面の不安もあるだろう。
監督や選手とコミュニケーションをしっかり取れるかどうかも大きい。日本の多くの選手がコミュニケーションという言葉の壁に悩まされ、プレー以前にそのことでチャンスを失っていった。古橋は、神戸で元バルサのセルジ・サンペールと公私ともに付き合い、コミュニケーション能力を磨いてきたが、英語はまだ十分ではないので、監督や選手の言葉を理解し、自分のパフォーマンスを発揮できるかどうか。