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「ティキタカですらすでに過去になった」80歳にして意気軒昂のオシムが語ったEUROとサッカーの進歩
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by Takuya Sugiyama
posted2021/07/23 06:00
「サッカーを見られればそれで十分」と元気な様子のオシム。いまだにJリーグもチェックしている(2013年撮影)
「それはいい。そのまま続けるべきだ。ボスニアの女子バスケットボール代表がEURO準々決勝に進んだ(註:決勝トーナメント初戦でクロアチアを80対69で下したボスニアは、準々決勝でフランスに67対80で敗れた)。女子バスケは東欧や北欧諸国、フランスやスペイン、ベルギーなどが強いが、そんな中にボスニアも入っていった。素晴らしいチームになった。
黒人で世界でもトップクラスの選手がひとりいる。彼女のような選手がボスニア代表に加わったのは奇跡的だ(註:ジョンケル・ジョーンズのこと。1994年バハマ生まれ。14歳でアメリカに渡り本格的にバスケットをはじめ、2016年にWNBAのコネチカット・サン入団。WNBAでは2度のリバウンド王と1度のMVPなどを獲得。現在はロシアのUMMCエカテリンブルク所属。2018年9月にボスニアに帰化。フランス戦では24のリバウンドを獲得しEURO新記録を打ち立てた)。
それで日本はいつサッカーを再開するのか?」
――Jリーグは再開しましたが、川崎フロンターレがずっと首位で……。
「以前よりもレベルが上がっているようだが」
――その通りです。
EUROは進歩している
「選手たちも年齢を重ねて多くを学んだ。世界のサッカーにも通じている。W杯やEUROから多大な刺激を受け、その成果が出ているのだろう。
EUROを見ればわかるが、誰もが戦い走っている。プレーがよりダイナミックになりゴールも増えた。オウンゴールが多いのもそのためで、決してネガティブではない。多くのチームがコンパクトなブロックを保ち、ゴール前を固めるからロングシュートの機会が増えた。それがディフェンダーに当たりコースが変わるからGKには災難だ(笑)。試合がそんなゴールばかりだと……、ちょっとした驚きだ。
だれもがアグレッシブで勇敢だ。動きが激しくピッチのあらゆる場所に選手が現れる。怪我も多くなるが、それでも対価は得ている。ゴールが増え、ひと試合で3点も決まるのはいいことだ。ゴール前で危険な状況が増えている証でもあり、いい兆候だといえる。