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大谷翔平のホームラン量産、これまでと何が違う? 数字から浮かぶ「2つの超才能」+イチロー並みのバントヒット率 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

posted2021/06/21 17:01

大谷翔平のホームラン量産、これまでと何が違う? 数字から浮かぶ「2つの超才能」+イチロー並みのバントヒット率<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

3戦連発で両リーグトップタイの23号本塁打。大谷翔平の打棒は全米でも注目の的だ

 昨年の大谷はコロナ禍で試合数が減る中、投手として故障するなど調子が上がらないままに終わってしまったが、本塁打は7本のうち4本がライナー性だった。

 二塁打が多い中距離打者であれば、ライナー性のホームランは良い打球だと言えるが、大谷のような長距離打者にとっては理想的とは言えないだろう。昨年の大谷は打球がなかなか上に上がらなかったのだ。

 今年、アッパースイングを心がけているのは「打球を上げる」ことを意識しているからではないか。

打球を飛んだ方向を見ても興味深い

 本塁打の飛んだ方向について見てみよう。

2018年
右5本(23%)右中間3本(14%)中9本(41%)左中間2本(9%)左3本(14%)
2019年
右2本(11%)右中間2本(11%)中7本(39%)左中間4本(22%)左3本(17%)
2020年
右1本(14%)右中間2本(28%)中1本(14%)左中間2本(28%)左1本(14%)
2021年
右6本(26%)右中間8本(35%)中5本(22%)左中間4本(17%)左1本(4%)

 単身アメリカに渡り、打者としてMLB一歩手前のAAAまで昇格した経歴を持つ野球指導者の根鈴雄次氏は「大谷は左中間に大きなホームランを打つようになって、MLBに認められた」と話していた。

 フライボール革命とは、むやみに振り回すのではなく、バットの真芯でボールをとらえて理想の角度(バレルゾーン)でボールを遠くに飛ばすことだ。そうした打球は真ん中から打者の反対側に飛ぶことが多い。大谷はこうしたホームランが増えたことで「フライボール革命」の担い手の1人と認められたのだろう。

 しかし今季は右中間への本塁打が増えているのだ。

【次ページ】 現地インタビュアーが「ウチュウカン? サチュウカン?」

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