サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「サッカー日本代表は人気低迷ぎみ?」解説歴26年・松木安太郎さんにあえて聞いた“今の代表チームに足りない選手”
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/06/17 11:03
松木安太郎さん。1957年生まれ、63歳。解説者に転身ののち、01年に再び東京ヴェルディの監督に。写真は01年当時、石塚啓次と
「先日のルヴァンカップ(5月19日、札幌対鹿島)では札幌ドームの機材トラブルの影響で、ピッチの角度がいつもとは90度ズレた状態のなか試合中継がされたという話を聞きました。その影響で実況者と解説者の席がゴール裏になってしまい、担当したアナウンサーは『こんな位置から放送するのは世界で初めてでしょう』なんて言っていたみたいですが、実は僕は以前、日本代表のアウェーでのオランダとの試合でゴール裏から解説しているんですよ。ピッチからは遠いし、テレビで見てる人は普段の横からの映像なのに、実況席からの絵だけが縦ですごくやり難かったのはよく覚えています(笑)」
人気低迷? 松木さんが考える「日本代表に必要なこと」
この6月には日本代表戦が4試合(うち6月3日のジャマイカ戦は中止になり、日本代表対U-24代表との親善試合となった)、東京五輪を控えたU-24代表のテストマッチ2試合が民放地上波で放送が組まれた。一方、その露出度とは対照的にサッカー日本代表の人気低迷が指摘されてもいる。
ひと昔前であれば、おそらくサッカーファンでなくても本田、長友、長谷部、内田……と聞けば、サッカー日本代表の選手だとわかり、顔と名前が一致したはず。だが、翻っていまはどうだろうか。
かつては当たり前のようにプロ野球は巨人戦を中心に連日、民放各局で生中継されていた。だが、その放送がBSやCS、インターネットでのライブ配信へと切り替わっていくなかで、野球人気が落ち込んだことは否めない。サッカー日本代表もいつかそうした状況に陥りかねない。今後も地上波で放送され続けていくためには、どんなことが必要になってくるだろうか。
「いまの日本代表は五輪世代を除けば、少しメンバーの年齢が上がってきている部分がありますね。その点では東京五輪でいい成績を出してもらって、新たなスターが登場してくれることがいちばんかもしれません。また、最近は海外に出る選手も一段と増えていますが、たとえば久保(建英)にしても、南野(拓実)にしても、コンスタントに試合出場できていない状況を考えると、選手にとってはどこでプレーするかということよりも出場できるクラブを選ぶということも大事になるでしょう。
それと海外に出ている選手が多いと、そちらに目がいきがちですが、やっぱりJリーグがもっとベースにならないと日本代表も盛り上がらない。Jリーグを見ていて思うのは、同じようなシステムや戦術で戦っているチームが多いのでは? ということ。ユニフォームを隠したら、もうどこのチームだかわからない。たとえばW杯やヨーロッパの各国リーグを見ていると、徹底的にボールを支配するチームがあれば、逆に守りを重視しながらも少ないチャンスでジャイアントキリングをねらってくるようなチームもある。そもそも同じような戦い方であれば、当然多くのタレントがいるチームが勝つ可能性が高くなるわけですし、そう考えてももっと色のあるチームが出てきてほしい。それがJリーグの活性化や日本代表の人気回復にもつながる気がします」
「日本は優等生を好みがち」「驚きが足りない」
そして、個人の力で観る人を惹きつけるような選手の出現もサッカーの魅力であり、ブラジル代表のネイマールのようにドリブルという絶対的な武器があるとか、代表チームがもっと個性溢れた集団になれば面白くなるのではないかと松木さんは続ける。