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「雨柳さん」や濃霧コールドって、100%の偶然ではない? 野球好きな女性気象予報士に“球場と天気の珍事”を聞いてみた
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySankei Shimbun
posted2021/06/18 11:00
雨中の一戦で力投する“雨柳さん”こと青柳晃洋。交流戦明けも好投に期待が集まる
なんで05年のロッテ-阪神で霧が発生したのか
佐々木 千葉のあの場所は風が通りやすいので、普通は朝に晴れて解消することが多いんです。でもあの日の場合、局地的な前線、風のぶつかり合いが球場付近で起こって、なおかつ雨上がりで空気が湿っていたことによって水蒸気が多く、霧が出たと見られます。それに加えて、10月は幕張付近でもあまり風が強まらない時期なんです。そのため霧がずっと残ってしまった、みたいな(笑)。気象条件としては本当に珍しいケースだったと思われます。
――なるほど……時期によってやってみないと分からないことも多いと。
佐々木 そうですね。「西日」もその1つです。去年はコロナ禍で11月までシーズンが開催されましたが、その時期、ZOZOマリンのデーゲームの西日があれだけ強いとは私も知りませんでした(笑)。また丸(佳浩)選手のキャッチがニュースにもなっていましたが、広島のマツダでも5月のデーゲームでは、センターを守る選手は真正面に太陽の光を受ける形になる、というケースもありますね。
センバツと夏の甲子園、雨天中止が多いのはどっち?
――やっぱり屋外球場って、想像以上に気象条件によって違いが生まれるんですね。
佐々木 そうなんです。プロ野球ではなくて高校野球の話になるんですが、甲子園は春のセンバツと夏の選手権と年2回開催されますよね。では、雨天中止になる傾向が多いのはどちらだと思います?
――え、やっぱいきなり雨降ってくるし、夏じゃないんですか?
佐々木 一瞬そう思いますよね。でも「1日ずっと雨で中止」というのは、春の方が多いんです。
――へえ~。
佐々木 夏の場合、もちろん台風が影響する場合がありますし、夕立や雷雨における中断といったケースもあります。ただ夏場の8月は太平洋高気圧にどっぷりと覆われているので、基本的には晴れが多い時期なんです。一方で春は低気圧と高気圧が交互にやってくる時期なので、雨がずっと降って中止・順延となりがちなんです。
で、雨柳さんの件についてなんですが……
――いやー、聞いてみないと分からないことって多いですね。ちなみに甲子園と言えば、聞いてこいと言われた「雨柳さん」なんですが、さすがにこれは偶然ですよね?