スポーツ百珍BACK NUMBER
「雨柳さん」や濃霧コールドって、100%の偶然ではない? 野球好きな女性気象予報士に“球場と天気の珍事”を聞いてみた
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySankei Shimbun
posted2021/06/18 11:00
雨中の一戦で力投する“雨柳さん”こと青柳晃洋。交流戦明けも好投に期待が集まる
佐々木 そうですね。外れることもありますが……毎日、気圧配置を見ていくうちに、「今日はこの風向きになりそうだな」「風が強まるかもしれない」など、季節を通じて1年ほど見続けたことで、徐々に傾向をつかめてきたかなと感じています。
梅雨前線1つとっても、立地条件で変わる
――さすが予報士さんですね。天気と野球の関係性と言えば、今、12球団のうち屋外球場の本拠地ってZOZOマリン、甲子園、神宮、楽天生命、ハマスタ、マツダ、そしてオリックスの準本拠地では、ほっともっとフィールドがありますよね。関東圏以外は予想をあまりされないかとですが、立地条件で、気象傾向はかなり変わりますよね?
佐々木 変化はかなりあると思います。ZOZOマリンは風の印象が強いですが、天気の変化について言えば分かりやすい方の球場だと思うんです。5~6月になると西の方ほど梅雨前線などが活発になりやすかったり、甲子園だとけっこう雷雨が多いんですね。
濃霧が発生するのも理由がある
――確かにPayPayドーム以外での九州での地方球場開催のとき、なんとなく雨天中止になっているケースが多い気がする……。
佐々木 時期というのは大きな関係性があると思います。その他にも仙台だと、2020年に霧が発生した試合がありました(※7月21日の楽天-オリックスで濃霧が発生。8回途中コールドになった)。
実はあの仙台の地域って、1年を通して霧が多い場所なんです。特に梅雨時期、海水温が低くなった時、その上空に暖かい空気が入ったら、海上に霧ができます。それが仙台空港などに流れ込み、北側にある楽天生命パークにも……という流れがあるんです。なので、海水温を見ると、「今日はちょっと霧が出やすいかもしれない」などの予報もできるのではないかな、と感じています。
――おお、さすが予報士さん視点……。ちなみに霧と言えば、ロッテと阪神の2005年日本シリーズ第1戦でも珍事が起きました(試合途中でマリンに霧が発生し、シリーズ史上初の濃霧コールドとなった)。