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「試合に出られないならやめろ!」スポーツ界でも“毒親”たちの“虐待”が…重圧で「眠れない」と泣く子どもも 

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島沢優子

島沢優子Yuko Shimazawa

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posted2021/05/28 06:00

「試合に出られないならやめろ!」スポーツ界でも“毒親”たちの“虐待”が…重圧で「眠れない」と泣く子どもも<Number Web> photograph by Getty Images

必死にスポーツ指導をする親が、わが子を虐待する“毒親”になってしまうことがある

子どもをどうしようが親の勝手?

 子ども支援専門の国際NGOの日本法人である公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施した体罰等に関する調査によると、子どもへのしつけのための体罰を何らかの場面で容認する回答者は41.3%。3年半前の前回調査結果から15.4ポイント減少した。昨年体罰禁止を盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行された効果が出てきてはいるものの、5人に2人が体罰を容認している実態がある。性別では男性が、年代では子育て世代の40代~50代が体罰を容認する割合が相対的に高い(図★)。

 この体罰等を容認する社会の空気は、子どもをどうしようが親の勝手というような「わが子の人権を認めない子育て観」を助長させるのではないか。

 例えば、前述の2つの家庭の父親はともに有形の暴力はないものの、「先発じゃないならやめろ」などの暴言や、「プロを目指さないならやる意味がない」といったモラルハラスメントに気づけない。子どもにとって安全基地であるべき家庭が、息の詰まる場所になる。暴力と同等、もしくはそれ以上のダメージがあるはずだ。

試合に出られないのに強豪クラブに固執する親

 首都圏でサッカークラブを運営する40代の男性コーチのもとには、Jリーグクラブや民間の強豪クラブのジュニアユースチームで試合出場の機会のない卒団生が相談にやってくる。もっと試合に出られそうなクラブに移籍したいが、親が許してくれないと言うのだ。

「チームを移って試合に出ていれば、その先で伸びる可能性はたくさんある。なので、お父さんたちに『(チームを)移って試合に出たほうが本人も楽しいし、伸びますよ』と話すのですが、ほぼ全員渋ります。強豪クラブにせっかく入れたのに、と言うわけです。親御さんたちが見栄を張りたいために子どもが犠牲になっているようにしか見えません」

 もう少し頑張らせたい。粘らせたい。保護者がわが子に「〇〇させたい」と望むと、子どもの自己決定権を奪う。とどのつまりは主体性を育む機会を阻害することになる。

【次ページ】 コーチがプレー中の子どもをベンチ前に呼んで…

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