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クーマンはバルサに残れない? 18歳ペドリら抜擢+国王杯制覇は無視され、終盤戦の“しくじり”をツッコまれる悲哀
 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byDaisuke Nakashima

posted2021/05/23 11:00

クーマンはバルサに残れない? 18歳ペドリら抜擢+国王杯制覇は無視され、終盤戦の“しくじり”をツッコまれる悲哀<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

世代交代の中で国王杯こそ獲得したクーマン監督だが、バルサでの任期は1年のみで終わってしまうのか

カンテラ育ちのペドリらの才能を見抜く功績

 必要に迫られた結果とはいえ、カンテラ育ちのアラウホとミンゲサに出場機会を与えて育て、18歳のイライシュ・モリバをデビューさせもした。

 そして何より、ペドリのずば抜けた才能を見抜き、重用してバルサの中盤に欠かせない選手に仕立て上げた。メッシが笑顔を取り戻したのもクーマンのおかげといえる。

 実際のところ、彼が成し遂げたことはメディアも、サポーターも、もちろんクラブも、十分に理解していると思う。

 問題は成し遂げられなかったことである。

強いチームに競り勝てず、自らも判断ミス

 まず、強い相手に競り勝つ力をチームに植えつけられなかった。今季のR・マドリー戦は2連敗、A・マドリー戦とCLのパリSG戦は、ともに1敗1分けだった。

 次に、ディフェンスシステムの完全な改善に失敗した。首位追撃が始まった12月13日のレバンテ戦から4月10日のR・マドリー戦まで、リーガの20試合(16勝3分1敗)は1試合平均0.75失点に抑えていたが、4月17日の国王杯決勝戦でA・ビルバオを鮮やかに破った後は一変。4月22日のヘタフェ戦から5月11日のレバンテ戦にかけては1.67失点まで増えている(3勝2分1敗)。

 その間、クーマンは判断ミスも目に付いた。中盤に肉体的な強さを求める傾向がある彼の采配に「バルサのスタイル」を信奉する人たちはかねて懐疑的な視線を向けていたが、優勝をかけたラストスパートでのしくじりは大きな減点となった。

 グラナダ戦ではペドリの投入が遅すぎた。ブスケッツが前半のうちに故障退場したA・マドリー戦ではデヨングをピボーテに移し、185cmのイライシュを送り込んだ。

 さらに、レバンテ戦ではやはり故障退場したCBアラウホに代えて本職のミンゲサではなくセルジ・ロベルトを起用し、1点リードしたところでペドリを下げてミンゲサ投入。セルジ・ロベルトを中盤に上げて体力による逃げ切りを図った。

 ベンチには身体は小さいけれどボールを使って試合の流れを整え、チャンスを作ることができる生え抜きのリキ・プッチが控えていたというのに――。

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