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グランアレグリアの圧勝にルメール「自分からギアアップしてくれた」 ヴィクトリアMで“復権”を果たした3頭目の歴史的女傑に
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/05/17 11:25
ヴィクトリアマイルで圧倒的な強さを見せたグランアレグリア。昨年のアーモンドアイに続きルメールの連覇となった
ルメール「今日は違うレベルでしたね」
勝ちタイムは1分31秒0。桁違いの強さである。
「やはり強かったですね。スタートはそんなに速くないので、ミドルポジションになりました。ポジションも、馬のリズムもよかったです。彼女は自分の能力を見せてくれました。今日は違うレベルでしたね。GIは5勝目ですが、また勝てると思います」
昨年のアーモンドアイに次ぐ連覇を果たしてルメールはそう言った。
まったく危なげないレース運びだった。6番枠からスタートすると、自身はそのまま真っ直ぐ走り、外枠の馬たちを先に行かせているうちに、道中、自然と中団の外目につける形になった。3、4コーナーも外目をスムーズに回り、直線で突き抜けた。ラスト3ハロンはメンバー中最速の32秒6。もともと掛かるタイプではないが、前走が2000mの大阪杯(4着)だったこともあり、マイルの速い流れのなかでは、道中、追っつけ気味になるほど折り合っていた。
騎手にとって、いわゆる「つかまっていただけ」に思われるレースをするのは、見た目以上に難しいものだ。この日の第9レースで史上22人目、現役9人目となるJRA通算1400勝を達成したルメールの手綱さばきが光っていた。
ウオッカ、アーモンドアイに続く歴史的女傑の復権
昨年のアーモンドアイも、このレースを4馬身差で制して「復権」を果たした。一昨年の有馬記念で9着に大敗したあと、年明け初戦に予定していたドバイターフに出走するため遠征したらレースがキャンセルになり、まさに仕切り直しの一戦であった。
さらに遡ると、2009年にここを7馬身差で圧勝したウオッカも、ドバイのジュベルハッタで5着、ドバイデューティフリーで7着に敗れたあとの帰国初戦での「復権」だった。
そこにこのグランアレグリアによる圧勝劇が加わり、これら3つのヴィクトリアマイルは、歴史的女傑が恐ろしいほどの強さで「復権」をアピールしたGIとして記憶されるレースとなった。