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グランアレグリアの圧勝にルメール「自分からギアアップしてくれた」 ヴィクトリアMで“復権”を果たした3頭目の歴史的女傑に
posted2021/05/17 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
昨年につづき、今年もまた、突出した競走能力を誇るスーパー牝馬が、感動的とも言える強さを見せつけた。
2年ぶりに有観客で行われた第16回ヴィクトリアマイル(5月16日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)で、圧倒的1番人気に支持されたクリストフ・ルメールのグランアレグリア(5歳、父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎)が2着を4馬身突き放して優勝。GI5勝目をマークしたと同時に、史上初の古馬マイルGI完全制覇(ヴィクトリアマイル、安田記念、マイルチャンピオンシップ)の偉業を達成した。
最後まで伸びつづけたグランアレグリア
最後の直線、グランアレグリアは先頭から4馬身ほど離れた馬群の外で、いつでもスパートできる態勢に入っていた。ラスト400mを切ってもまだ、ルメールは、軽くエンジンを吹かす程度にしか、手綱を持つ手を動かしていない。
ラスト300m付近で、武豊のレシステンシアが先頭に躍り出た。
それにタイミングを合わせるかのようにルメールが手の動きを速めた。すると、それまで右手前で走っていたグランアレグリアは手前を左に戻し、さらに加速しながらラスト200m地点を通過した。
「素晴らしい手応えでした。直線では外に出して安全に乗りました。自分から馬銜を取りましたし、自分からギアアップしてくれました」
そう振り返ったルメールがゴーサインの右ステッキを入れると、後ろをどんどん引き離して行く。
そのまま最後まで伸びつづけたグランアレグリアは2着に4馬身の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。