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グランアレグリアは“行きたがる馬”から“穏やかな馬”に? 圧巻のヴィクトリアマイルの裏にあった藤沢師の采配
posted2021/05/18 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
16日に行われたヴィクトリアマイル(GI)はグランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)の圧勝で幕を閉じた。
小雨のパラつく時間帯こそあったものの、レースの時間帯は曇天。20度の気温の下、古馬のマイル女王決定戦は火蓋を切った。
「レース前は少し気が入っていたけど、以前と比べれば大人しいものです」
グランアレグリアの雰囲気をそう述懐したのは管理する藤沢和雄調教師。同馬は単勝1.3倍の圧倒的1番人気。3歳時に桜花賞(GI)を勝ったのを皮切りに、古馬となった昨年は高松宮記念(GI)こそ2着に惜敗したものの、以降、安田記念(GI)、スプリンターズS(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)と短距離のトップレースを3連勝。見事にJRA賞最優秀短距離馬の座を射止めて見せた。
大阪杯は4着に沈むもコントレイルとはクビ差
しかし、今年初戦となった前走の大阪杯(GI)では4着に敗れた。これには主戦のクリストフ・ルメール騎手が言う。
「初めての2000メートルということもあったけど、何より雨が強くてかなりの道悪になってしまいました。切れ味勝負のグランアレグリアには向かない馬場。良馬場なら結果は違ったと思います」
このように条件的には決して良くなかったため4着に沈んだが、それでも昨年の無敗の三冠馬コントレイルとの差は僅かにクビ。敗戦の中にもキラリと光るモノは見せていた。
それだけに得意のマイル戦に戻り、良馬場の予測出来た今回は負けられない一戦となった。JRA通算1500勝を誇る藤沢和調教師をしてもプレッシャーがかかったかと思いきや、伯楽は言う。
「もちろん今回は言い訳出来ないという気持ちはありました。ただ、走るのは馬ですからね。私がプレッシャーを受けてもどうしようもない」
この言葉を真に受ける気はないが、主戦ジョッキーもレース前には似たような見解を述べていた。
「レース4日前には美浦へ行って調教に乗りました。落ち着いていながらもシャープに動いてくれました。あの感じを見る限り、前走(大阪杯)のダメージは無さそうなので、普通に走ってくれれば自ずと結果はついてくると思います」