酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
低所得など社会事情も影響? 沖縄の“野球離れ”に甲子園準V腕&元巨人・ダイエーの大野倫氏はどう向き合うか
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/03/24 06:01
故郷・沖縄での野球普及に取り組んでいる大野倫氏
「少し前の新聞で、沖縄の小学5年生の部活加入率が全国最低だったという報道がありました。僕らが子どものころは、沖縄の子と言えば山や海を駆け回っているイメージがありましたが、今や子どもの肥満率でも全国トップです。
沖縄県は所得が低く、共働きの家庭が多いのですが、そういう社会事情もあって子どもがスポーツをするのが難しくなっています。
私は中学野球の指導もしていますが、"学校が終わったら保育園に妹を迎えに行かないといけない"とか"お母さんが夜遅いから下の子の晩御飯作らないと"という子もいます。
そういうときには練習を休んでもいいよ、週に1回でも2回でもグラウンドに来なさいと言っていますが、沖縄で子どもがスポーツをする環境は厳しくなっていますね」
驚いたことは休んでいるうちに……
――大野氏は沖縄県の緊急事態宣言発出時も学校で授業を実施しています。体育の実技ではなく、体育館や教室でソーシャルディスタンスを取って講話をしたとのこと。一方で、中学少年野球チーム「うるま東ボーイズ」の指導者としても実績を上げています。
「ボーイズも練習時間を短縮せざるを得なくなったのですが、驚いたことに休んでいるうちに子どもたちの身体がみるみる大きくなったんです。野球は練習をたくさんして体を鍛えると言いますが、休んでいる間に身長が伸びたり、細かった子が体重が増えてしっかりした身体になったりしました。
ボディビルダーも1回緩めてから締めると体が大きくなると言いますが、それを見ていて、ある意味で休んで栄養を摂ることも練習なんだと思いました」
――小学生の子どもたちと中学硬式野球、指導方針に違いはあるのでしょうか?