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「12試合ホームランなし」最長記録を破った東海大菅生・新2年生は昨秋までメンバー外<インコと話せる背番号17>【センバツ】
posted2021/03/24 15:30
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
KYODO
「えー」「まー」「あー」。
質問を投げかけると、背番号「17」の坊主頭は、必ずといっていいほど、そう、ちょっぴり困ったような表情を浮かべる。
2回裏、東海大菅生の先頭打者として打席に立った「6番・ライト」の鈴木悠平は、3ボール1ストライクからの5球目、高めに浮いた120キロのスライダーをフルスイングした。
「まー、ピッチャーも(ストライクを)入れてくると思ったんで、そこを狙って、全力で振りました」
「12試合ホームランなし」最長記録を破る
前日、12試合を消化した時点でもホームランは0本。選抜大会では1975年に金属バットが導入されてから最長となる「ホームランなし」記録だった。
13試合目にして、甲子園に久々に鳴り響いた快音、久々に描かれた弾道だった。
打球はレフトポール際に向かって、ぐんぐん伸びる。
「まー、切れるか、切れないか、キワキワの打球だったので、審判が手を回して、観客が騒いだので(ホームランだとわかった)。気持ちよかったです」
相手の先発投手、聖カタリナのエース・櫻井頼之介の得意球は、横に滑るように曲がるスライダー。ストレート狙いだと空振りしてしまうと読んだ監督の若林弘泰は、最初からスライダーねらいを指示していた。その作戦が的中した。
ペットのインコに「野球の悩みごとを語りかけていた」
新2年生の鈴木悠平は、昨年秋まではメンバー外。直前の登録変更で急きょベンチ入りを果たした選手だった。指揮官はその理由をこう語る。