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六大学野球で絶対的レギュラーではなかったのに…社会人野球で急成長中の野手“ドラフト注目の2人” 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/03/24 17:03

六大学野球で絶対的レギュラーではなかったのに…社会人野球で急成長中の野手“ドラフト注目の2人”<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

明治安田生命・高瀬雄大遊撃手。明治大時代(写真)はショートに渡邊佳明(現楽天)がいてレギュラーになりきれなかった

(2)舩曳海「5打席3三振でも…使える肩を持つ中堅手」

 もうひとりの「見たかった野手」、日本新薬・舩曳海中堅手は「走れて守れる」。

 強肩というほどではなくても、バウンドの落とし所が的確なのだ。相手野手がタッチプレーをしやすそうなワンバウンドで返してくるスローイングは、実戦力が高い。華やかな猛肩とはいかないが、「使える肩」の持ち主と言っていい。

 問題はバッティングだ。50m5秒台ともいわれる快足も、塁に出ないことにはフル活用はできない。

 この日の明治安田生命戦、5打席で3三振……うわべだけ見ればNGなのだろうが、私はそうは考えない。

 バッティングなんて、6割、7割打ち損じでもしょうがない難しい作業だ。プロのバッターだって試合の中で、そう何度もキラキラ光るわけじゃない。

 まして「アマチュア」だ。1試合でたった一度でも、「キラキラッ」と輝いた一瞬を見逃さないように……と心がけている。

甘いボールの打ち損じをいかになくすか

 それが、この日の第2打席だった。

 明治安田生命の先発・小玉和樹投手(23歳・167cm73kg・右投右打・国学院大)のカットボールに若干体勢を崩されながら、芯で捉えてコンパクトにサッと振り抜いた打球が痛烈なライナーになって、外野に行ってさらに浮上するように伸びた。

 背走した中堅手が飛びつくように捕球したが、あの伸び方はインパクトでしっかり「パワーポイント」を作れていればこそ。でなければ、あれだけの「生命力」は生まれない。いちばん力の入るポイントを捕まえかけている。あとは場数を踏んで、投球にタイミングを合わせる技術をつかむことだ。

 明治安田生命・高瀬雄大同様、この舩曳海も法政大学の4年間でレギュラーとしてフル出場したシーズンはない。

 いちばん肝心な「実戦力」については、これからの選手だろう。この日の試合でも目についた甘いボールの打ち損じ。なんとなく繰り返しているうちに、カウントを追い込まれ、難しい勝負球で喫した3三振。

 たとえば、日常のフリーバッティングを、「1球交代の1球勝負」という方法に変えてみる。それだけでも、ファーストストライクを丁寧に捉えて打ち損じを減らす意識が植えつけられるのではないだろうか。

 正しい努力こそ、ウソはつかない。

 数を重ねることと同時に、「方法論」についても知恵を使うこと。アマチュア球界の最高峰なら、そこのところが肝心になってくる。この先1年間の「精度アップ」が、この快足外野手の野球人生を大きく左右してくるはずだ。

(【投手編を読む】プロ野球スカウト「165cmは小さいからなぁ…」社会人野球で発見した“ドラフト注目”2人のピッチャー へ)

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