プロ野球スカウト「165cmは小さいからなぁ…」社会人野球で発見した“ドラフト注目”2人のピッチャー

　社会人野球の大会が「リーグ戦形式」になってから、期待の若手投手を先発に抜擢して、その実戦力を確かめる場面にしばしば出会うようになった。

　一種の「肝だめし」である。緊迫のマウンドに向かう投手たちにとってももちろん肝だめしだが、起用する首脳陣にとっては、もっと肝だめしなのかもしれない。

　見る者からすれば、未知の魅力をいっぱいに秘めた「新星」の登場なのだから、心が弾んで「球春」らしい気分になれる。

（1）「埼玉栄高では勝ち運に恵まれなかった」米倉貫太

　社会人野球「東京大会」（スポニチ大会）2日目、昨年の都市対抗を制したホンダ（埼玉・狭山市）が、先発に高卒3年目の右腕・米倉貫太投手（20歳・184cm86kg・右投右打・埼玉栄高）を繰り出してきた。

　福岡の浮羽ボーイズから将来を嘱望されて埼玉栄高に入学したが、なかなか勝ち運に恵まれなかった高校時代。コールド勝ちが予想された相手に、試合前半で大量失点。よもやのKOの場面を目撃したこともあった。

　マウンドに上がった時の立ち姿、きれいな身のこなしの柔軟なフォーム……どこから見ても雰囲気は“逸材”なのだが、なぜか走者を出すとソワソワし始めて、相手打者より自軍ベンチと勝負しているような印象があった。  

　当時の若生正廣監督がその成長をとても楽しみにして、厳しく熱心に指導にあたっておられたが、大きな期待に応えようとし過ぎたのか、なかなか結果がついてこないまま、卒業となった。

あっという間にレフトスタンドへ…

　試合前の遠投。バックネット方向に向かって投げ込んでくるボールが、ぐんぐん伸びてズームアップしてくる。高校時代はなかったこの「迫力」。きれいに投げるが、ガツンと来る強さと破壊力がなかった。

　力感が出て大人っぽくなったなぁと感心するのと、もうちょっとだな……と、残念な思いも同時に湧く。

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