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【センバツ】「初戦は負けない」明徳義塾“馬淵神話”はなぜ崩れた? 苦言も「あれは明徳の守備とは言えない」

posted2021/03/19 18:35

 
【センバツ】「初戦は負けない」明徳義塾“馬淵神話”はなぜ崩れた? 苦言も「あれは明徳の守備とは言えない」<Number Web> photograph by KYODO

初戦で仙台育英に敗れ、引き揚げる明徳義塾ナイン。右手前が馬淵監督

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中村計

中村計Kei Nakamura

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 ひとつの「馬淵神話」がある。

 初戦は負けない――。

 馬淵史郎は監督就任2年目、91年夏に自身初となる甲子園出場を果たし、それから10年夏まで20大会連続で初戦を突破した。

 その理由は明快、かつシンプルだった。

「1回戦はデータ分析も含めて、もっとも準備に時間をかけることができる。それだけのことよ」

 11年春に初戦初黒星を喫したものの、その後も、やはり初戦の勝率が極めて高く、春夏計33回の甲子園で、4回しか負けていない。

6番代木「マシンを速くして打ち込んできたのに…」

 この日の仙台育英戦も、「準備」は万端のつもりだった。

 1点を追う明徳は4回表、絶好のチャンスを得る。2アウト一、三塁で、打席には好打者の6番・代木大和が立った。

 すると、ここですかさず仙台育英ベンチが動いた。まだ1本しかヒットを許していない先発・古川翼をあきらめ、エースの伊藤樹にスイッチ。代木は左打者で、本来、左投手の古川の方が有利な面もあるが、構わず、右の本格派右腕である伊藤をぶつけてきた。馬淵が振り返る。

「驚きませんでしたよ。東北大会でも、仙台育英さんは、同じように3回か4回で継投していたので」

 ただ、実際のボールには面食らった。代木の証言だ。

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