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大坂なおみ選出“注目の女性アスリート”なでしこ籾木結花が持つ違和感「サッカーは男性がやるものという意識を…」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/03/14 06:00

大坂なおみ選出“注目の女性アスリート”なでしこ籾木結花が持つ違和感「サッカーは男性がやるものという意識を…」<Number Web> photograph by Getty Images

2019年に行われたEAFF E-1 サッカー選手権決勝大会での籾木結花(左から2番目)

Jリーグとなでしこリーグとの観客動員の差

 日本代表に限らず、リーグ戦の観客動員も芳しくなかった。

 大学2年生から3年生にかけて、「4つのテーマで日本女子サッカー界をいろいろなものと比較する研究に取り組み」、最後の1年はベレーザの集客プロジェクトを実際に手がけ、それを卒論とした。

「観客にアンケートをとって生の声を聞いたときに、スタジアムでの食事やドリンクの充実を大事にしている方が多かった。自分たちはピッチで100%の力を出すのが仕事なのでそういったことを知らずにいたけれど、それ以外の時間をどう楽しんでもらうのか、次の試合にどう継続して来てもらうか、いろいろ足りない部分を知る機会になりました」

 Jリーグの何万人と観客が集まる環境はすばらしいと思う。

「その裏にはクラブのスタッフの方々の力がある。ホームタウンとの連携であったりどれだけチームを地域に根付かせられたかの結果だと思います」

 彼我の差を感じ取った。

2019年のW杯ではすべての国が1つのチームに

 再び女子サッカーへの関心を高めたい、地位を向上させたい。そんな思いを抱え、そのためのアクションにも取り組み始めた籾木は忘れがたい経験をする。それは2019年にフランスで行なわれたワールドカップだ。日本代表の1人として参加した籾木は大会をこう振り返る。

「出場国以外の国も含め、1つのチームになっていたな、という感覚が強かったです」

 1つのチーム、とはどういう意味か。

「アメリカはサッカーをやる子も多いですが、まだ世界的に見ると女子サッカーって少数派の位置にいます。世界一を争う大会ではあるけれど、全員で1つの大会を盛り上げようという雰囲気を感じました」

 世界中の選手が、女子サッカーの認知と地位を上げたいといううねりを生んでいた。

【次ページ】 ミーガン・ラピノーの強いメッセージ

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