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大坂なおみ選出“注目の女性アスリート”なでしこ籾木結花が持つ違和感「サッカーは男性がやるものという意識を…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2021/03/14 06:00
2019年に行われたEAFF E-1 サッカー選手権決勝大会での籾木結花(左から2番目)
「世界一幸運だなと感じるくらいのチャンスが」
しかも、OLレインにはラピノーがいた。
「ラピノー選手がいるチームからオファーがいただけたときは、世界一幸運だなと感じるくらいのチャンスが目の前に来たと思いました。ベレーザを出たくないという思いは強かったです。みんなと仲がいいだけではなく、優勝してもさらに高みを目指す仲間とのトレーニングはやっぱり楽しかった。でもそう思える組織だからこそ出ないといけないなという思いがあって、挑戦しようと決めました」
その後、スウェーデンの「リンシェーピング」への期限付き移籍なども経験し、今シーズンもOLレインでプレーする。
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そんな籾木が新たに脚光を浴びる出来事があった。
アスリートとしての発信力を何かを変えるための声に
i-D JapanとNikeとのコラボレーション企画『フューチャーチェイサーズ:Class of 2021』に選ばれた籾木は、ゲストエディターの大坂なおみの指名により、オンラインで話す機会を得た。
その後、大坂なおみの推薦による「2021年に注目すべき女性アスリート」の1人に選ばれた。海外の様々な競技のアスリートと名前を並べたのである。
「ほかのアスリートの方を見ても、なんで選んでいただいたのか分からないくらい」
照れたような笑顔を見せた。
籾木が大坂に伝えた思いは、こうだ。
「私たちアスリートは、アスリートとして結果を残していくのはもちろん、アスリートとしての発信力を何かを変えるための声として使わなければいけないと思っています。大坂なおみさんが大会中にマスクに名前をつけてメッセージを発信していたことに自分も共感しましたし、大坂なおみさんも私の意志に共感してくれたのかなと思います。それにサッカーが好きとも言ってくれていて、サッカーを通じて日本を変えていきたいという私の大きな夢を応援したいと思ってくださったと思います」
問題意識を抱え、行動を図り、そしてラピノーらの姿にも学び、籾木はこう語るに至った。そこに大坂が共感を寄せたことの意味は決して小さくない。
では籾木は、何を変えていきたいと考えているのか。
(【続きを読む】なでしこ籾木結花は、なぜ森喜朗氏の“女性差別発言”を「これ、いい方向に進むんじゃないか」と考えたのかへ)