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大坂なおみ選出“注目の女性アスリート”なでしこ籾木結花が持つ違和感「サッカーは男性がやるものという意識を…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2021/03/14 06:00
2019年に行われたEAFF E-1 サッカー選手権決勝大会での籾木結花(左から2番目)
ミーガン・ラピノーの強いメッセージ
さらに大きな刺激も受けた。
大会では、世界的に関心が寄せられていた選手がいた。アメリカのミーガン・ラピノーである。かねてから男女間の待遇の差の改善を訴え、あらゆる差別に反対しながらメッセージを発信してきたラピノーは、準決勝を前にして「優勝してもホワイトハウスには絶対に行かない」と語った。トランプ大統領(当時)の差別的な言動を批判してきたラピノーならではの意思表明だった。
「サッカーを超えた何かに対して向かっていくことを教えてくれたように思いました」
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女子サッカーの地位を向上させたいと考え、そのために学び、行動を起こしていた籾木には、なおさら響いた。
サッカーは男性がやるものという感覚がある?
サッカーにおける男女の違いは、大会名やチーム名にもあると籾木は感じている。
「サッカーで、『men's』って大会名に入らないと思うんです。チーム名もそうです。例えばマンチェスター・シティの女子チームはwomen'sと入っています。サッカーは男性がやるものという感覚があるように感じます。日テレ・ベレーザでやっていて気持ちよかったのは、同じ会社でありながら東京ヴェルディとベレーザ、自分たちの名前を持てていたこと」
そして2020年5月、籾木はアメリカの「OLレイン」への移籍を発表する。
「日本代表で世界の選手と試合をして、自分のパフォーマンスが高くなるのは、自分のことを味方が理解してくれて、かつ自分も味方を理解しているときだと思いました。そういう意味ではベレーザでは簡単にお互いを理解し合えた。でもその状況に甘えているんじゃないかとも感じていて、このままでは成長しないと危機感がありました。海外の選手とトレーニングをすることで彼女たちのスピードやパワーを日々感じながら、体格的に劣るフィジカルでも自分のよさを磨いたり足りない部分を向上させたかったんです」