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「ようやく方向性が見えてきた」3年の試行錯誤を経て、高梨沙羅「金メダルを獲れる器」の証明へ

posted2021/02/20 06:01

 
「ようやく方向性が見えてきた」3年の試行錯誤を経て、高梨沙羅「金メダルを獲れる器」の証明へ<Number Web> photograph by AFP/JIJI PRESS

2月7日、オーストリアで行なわれたワールドカップ第7戦で優勝した高梨。2位のニカ・クリズナー(左・スロベニア)は20歳と、自分より若い世代との首位争いが続く

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 ドイツ・オーベルストドルフで開催されるノルディックスキー世界選手権の開幕が近づいてきた。

 ジャンプ、ノルディック・コンバインド、クロスカントリーが行なわれる大会は、2月24日(現地時間)から競技がスタートし、3月7日に閉会式を迎える。

 2年に一度行なわれる大会だけに、選手はここを一大目標に据えてきた。しかも北京五輪を来年に控え、大舞台へ向けた長期的な強化や試みの成果を確認する場でもある。

 注目すべき選手は多い。その中でも、2018年の平昌五輪で銅メダルを獲得したジャンプの高梨沙羅は、世界選手権を前に調子を上げてきた。

 昨年12月のワールドカップ開幕戦で同シリーズで実に101回目の表彰台となる3位。年が明けて1月の第2戦は4位、第3戦は7位にとどまったが、第4戦で2位と表彰台を取り返した。

 2月になるとさらに調子を上げる。第5戦こそスーツの規定違反で失格となったが、第6戦、第7戦で連勝し男女を通じて最多となる優勝回数を59に伸ばした。

飛ぶごとによくなっている

 とりわけ第7戦のジャンプは充実を思わせた。

 1本目に89mでトップに立った高梨は、2本目でヒルサイズを上回る最長不倒の92.5m。飛型点でも1位の55.5点を得た。

「飛ぶごとによくなっている」と語るように、一戦ごとに向上を見せている。

 とりわけ、課題としてきた助走での姿勢や重心の安定感が増している。

 それは長年の課題だった。ジャンプは、大会が行なわれる会場ごとにジャンプ台の形状が異なる。それぞれに適応して助走路を滑り、踏み切る必要がある。

 助走のとき、どれくらいの高さの姿勢がよいのか、腕の形をどうとるか、何センチという単位での調整を迫られる中で、いかに自分のスタイルを確立するかがポイントになる。

 高梨もその精密な世界を追求してきた。ジャンプでは、身長などに応じて使用できるスキー板の長さが決まってくるから、一般的には身長の低い選手は不利とされる。高梨も海外の上位の選手に比べると身長は低く、本人はなおさら精度を求め、それは高梨の課題ともされてきた。

 ひとつの成果に結びついたのは、2度目のオリンピックとなった2018年の平昌だ。

【次ページ】 見えてきた理想のジャンプ

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